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Lucky To Be Me

  • 作曲: BERNSTEIN LEONARD
#スタンダードジャズ
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Lucky To Be Me - 楽譜サンプル

Lucky To Be Me|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Lucky To Be Me は、作曲家レナード・バーンスタインが手がけた楽曲で、初出はブロードウェイ・ミュージカル『On the Town』(1944年初演)。作詞はベティ・コムデンとアドルフ・グリーンによるものです。舞台発のナンバーとして誕生しながら、その後は多くのジャズ・ミュージシャンに取り上げられ、ボーカル曲としてもインストゥルメンタルとしても親しまれるスタンダードへと発展しました。華やかで知的な和声感と忘れがたい旋律は、バーンスタインが持つクラシックとポピュラーの架橋的センスを端的に示す例としてしばしば言及されます。

音楽的特徴と演奏スタイル

しなやかに上昇・下降するメロディと、豊かなテンションを含む和声進行が本曲の核です。バラードからミディアム・テンポまで幅広く演奏され、イントロで自由なルバートを用いた後、スイングへ移行するアプローチがよく見られます。ピアノでは分散和音や内声進行を活かしたリハーモナイズ、ボーカルでは語り口を大切にしたフレージングが効果的。終止に向けての微妙な転調感やサブドミナント・マイナー的な色彩は、甘美さと陰影を両立させ、ジャズ・バラードとしての深い解釈を可能にします。

歴史的背景

『On the Town』は、同年のバレエ『Fancy Free』を母体に誕生した舞台作品で、第2次世界大戦下のニューヨークを舞台に、若さと出会い、そして一瞬の高揚を描きました。Lucky To Be Me は、その物語世界の中で“自分は幸運だ”という実感を歌い上げる位置づけのナンバーとして機能します。舞台の成功とともに楽曲は広く知られるようになり、やがてショウ・チューンの枠を超えてジャズ・レパートリーへと拡散していきました。映画版での採用については情報不明ですが、舞台オリジナルの重要曲として評価されています。

有名な演奏・録音

ジャズ・ピアニストのビル・エヴァンスは1958年『Everybody Digs Bill Evans』で取り上げ、繊細なタッチと再調性によって曲の潜在的な美しさを浮き彫りにしました。さらにトニー・ベネット&ビル・エヴァンスの共演盤『The Tony Bennett/Bill Evans Album』(1975年)に収録されたヴォーカル・ヴァージョンは、歌詞の優美さとハーモニーの陰影を両立させた名演として高く評価されています。以後、数多くのジャズ歌手やピアニストがレパートリーに加え、舞台リバイバルのキャスト録音でも継続的に録音されています。

現代における評価と影響

Lucky To Be Me は、アメリカン・ソングブック系レパートリーの中でも、叙情性と洗練を兼備した曲として現代でも人気を保っています。音大やジャズ教育の場では、バラード解釈やリハーモナイズの教材として取り上げられることも多く、ライヴでは静謐な抒情からエレガントなスイングまで、幅の広い表現を許す楽曲として愛奏されています。ミュージカル・ファンとジャズ・ファン双方の架け橋となる存在感は、今日でも色褪せません。

まとめ

ミュージカル由来の魅力的な旋律と、ジャズに最適な和声語法を併せ持つ Lucky To Be Me は、レナード・バーンスタインの多面的な才能を象徴する楽曲です。舞台の文脈を超えて数多くの名演を生み、現在もステージや録音で生き続けるスタンダードとして確固たる地位を築いています。