One O'clock Jump
- 作曲: BASIE COUNT

One O'clock Jump - 楽譜サンプル
One O'clock Jump|楽曲の特徴と歴史
基本情報
One O'clock Jumpは、BASIE COUNT(カウント・ベイシー)作曲によるインストゥルメンタルのジャズ・スタンダード。初録音は1937年、カウント・ベイシー楽団による商業録音として世に出た。以降、同楽団のテーマ曲として長く愛用され、スウィング時代を象徴する代表曲に数えられる。歌詞付きの定番版は存在せず、演奏で魅せるナンバーとして普及した。
音楽的特徴と演奏スタイル
本作は12小節ブルースを基盤に、セクションごとの短いリフを積み重ねる“ヘッド・アレンジ”で構成される。トランペット、サックス、トロンボーンが呼応し、ソリとソロが交錯する展開は、スウィングの醍醐味であるドライブ感を強調。軽快な4ビート、ウォーキング・ベース、ギターの4つ打ち、そして余白を活かしたピアノのコンピングが一体となり、ダンサーを誘う推進力を生む。終盤に向けリフが層をなすシャウト・コーラス的高揚も聴きどころだ。
歴史的背景
楽曲は、当時のカンザスシティに根づいた即興性と実用的アレンジ文化から育まれた。クラブ現場で鍛えられた“ヘッド”中心の作法が、楽譜に頼らずとも緻密でグルーヴィーなサウンドを実現し、ツアーでも再現性の高いレパートリーとなった。タイトルの由来については諸説あるが詳細は情報不明。いずれにせよ、深夜帯のショウやラジオ向けシグナルとして機能し、バンドの看板曲となったことは確かだ。
有名な演奏・録音
1937年の初録音以降、ベイシー楽団は幾度も再録音やライヴで取り上げ、時代ごとのメンバーによる多彩なバリエーションを残した。他のビッグバンドや小編成コンボにも広く浸透し、編曲版も多数出版。アドリブ・コーラスやリフの受け渡しに個性が現れるため、演奏ごとに表情が変わるのが魅力だ。特定の映画使用や個別の受賞歴は情報不明だが、録音史上で重要作としてしばしば言及される。
現代における評価と影響
One O'clock Jumpは、ビッグバンド教育の定番曲として世界中のスクールやコミュニティ・バンドで演奏され続けている。セクション・バランス、スウィング・フィール、ダイナミクス設計を学ぶ教材としても優秀で、セッション現場でも親しまれる。スウィング・ダンスのイベントやラジオ番組でのジングル的な用法など、現在も活発な露出がある。ジャズ入門者にとっても取っ付きやすいスタンダードだ。
まとめ
リフ主体のヘッドアレンジ、12小節ブルース、推進力あるリズム。One O'clock Jumpは、スウィングの核心を凝縮した実演の名刺代わりの一曲である。1937年の誕生以来、時代と編成を超えて演奏され続け、ジャズ・スタンダードとして揺るぎない地位を保っている。