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Prisoner Of Love

  • 作曲: COLUMBO RUSS,GASKILL CLARENCE
#スイング#スタンダードジャズ
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Prisoner Of Love - 楽譜サンプル

Prisoner Of Love|歌詞の意味と歴史

基本情報

Prisoner Of Loveは、1931年に発表された英語詞のポピュラー・バラード。作曲はRuss ColumboとClarence Gaskill、作詞はLeo Robinにより書かれ、当時の“クローナー”系歌手のレパートリーとして広く親しまれた。柔らかなメロディとロマンティックな和声進行が特徴で、のちに多数の歌手により取り上げられスタンダード化。特にPerry Como(1946年)の大ヒットや、James Brown(1963年)のソウルフルな解釈で、世代とジャンルを超えて浸透した。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示す通り、“愛の虜(とりこ)”となった語り手の心情が中心テーマ。相手への深い執着と献身、離れていても抗えない恋慕、戻ってきてほしいという切実な願いが、古典的な比喩と端正な語彙で描かれる。ティン・パン・アレー期の恋愛叙情の系譜に連なる内容で、過度な劇性よりも余韻と哀感を重んじる表現が印象的。直接的な告白より、身を委ねる受動態の言い回しが多く、タイトル通りの“囚われ”の感覚を音楽と言葉の両面で丁寧に表現している。

歴史的背景

1931年は大恐慌下で、ラジオとダンスバンド、そしてクローナーの台頭が進んだ時期。人々が慰撫的なバラードを求める中で、本曲の甘美な旋律と包み込むハーモニーは時代感覚に合致した。ブロードウェイ起源ではなく単独曲として広まり、レコード市場と電波を通じて人気を拡大。戦前・戦後をまたいで愛唱され、アレンジ次第でジャズ/イージーリスニング/ソウルへと柔軟に横断しうる“曲力”が評価を押し上げた。

有名な演奏・映画での使用

代表的な録音として、Perry Comoによる1946年のヒットが挙げられ、滑らかなフレージングとオーケストレーションで決定版の一角を成す。さらにJames Brownは1963年にソウル的語法で再解釈し、情念を前面に出した名唱として知られる。オリジナルを担ったRuss Columboの存在も歴史的に重要。映画での顕著な使用例は情報不明だが、アメリカのスタンダードとしてさまざまな場面で引用・カバーされてきた点は確かである。

現代における評価と影響

Prisoner Of Loveは、伝統的ポップスとジャズ、ソウルを橋渡しする稀有なレパートリーとして位置づけられる。シンプルながら滋味深いコード進行は、弦楽を伴う大編成から小コンボまで器楽的な装いを選ばず、歌手の解釈力を引き出す。プレイリストやステージでは“クラシックなロマンス”のムードを纏う名曲として機能し、カバーの余地が広いことから教育現場の教材やリサイタル曲としても重宝され続けている。

まとめ

1931年に生まれたPrisoner Of Loveは、恋に囚われた心情を品よく描く歌詞と、美旋律の相乗効果で時代を超えるスタンダードとなった。Perry Comoの洗練とJames Brownの情熱という両極の名演が、曲そのものの包容力を証明している。映画での使用は情報不明ながら、今日も多様なアレンジで歌い継がれる“愛の定番”として不動の地位を保っている。