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Runnin' Wild

  • 作曲: GIBBS ARTHUR H
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Runnin' Wild - 楽譜サンプル

Runnin' Wild|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Runnin' Wildは、GIBBS ARTHUR H(アーサー・H・ギブス)作曲の楽曲で、1922年に発表されたジャズ・スタンダード。作詞はJoe GreyとLeo Wood、オリジナルは歌詞付きのポピュラー曲として広まった。軽快なテンポと躍動感のあるリズムが特徴で、20年代のダンス・ミュージックとして人気を獲得。現在はトラッド〜スウィング系のレパートリーとしても親しまれている。調性や初演歌手などの詳細は情報不明だが、出版譜と複数の初期録音を通じて広く普及した。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲は、明快なリズム・リフと強いシンコペーションが推進力を生む。ダンス・バンドでは2ビートの躍動感を基調にブラスとリードの掛け合いを活かし、スウィング以降の演奏では4ビート寄りのウォーキング・フィールで再解釈されることも多い。テンポは中速〜速めで取り上げられる例が一般的で、短いモチーフの反復とブレイクを織り交ぜる構成が映える。ヴォーカル版では自立や束縛からの解放を想起させる語り口がリズミカルな言葉運びと結びつき、インスト版では明快なテーマとアドリブ・コーラスの対比が聴きどころとなる。

歴史的背景

1920年代は禁酒法時代とダンス・クレイズが交錯した「狂騒の20年代」。ティン・パン・アレーを中心に、歌とダンスを結びつけた楽曲が次々に市場へ供給された。Runnin' Wildもその潮流の中で誕生し、クラブやボールルームで演奏されることで知名度を拡大。シート・ミュージックの販売と新興のレコード産業の拡大が普及を後押しし、歌物でありながら器楽的な魅力でも受け入れられ、のちのジャズ・スタンダード化へとつながっていった。

有名な演奏・録音

本曲は1920年代のダンス・バンドや小編成ジャズ・コンボにより数多く録音され、時代を象徴するレパートリーとして定着した。特に映画『お熱いのがお好き』(1959年)でマリリン・モンローが歌唱した場面は広く知られ、20年代の空気感を喚起する代表的な使用例となっている。歴史的な個別録音の網羅的リストは情報不明だが、トラッド・ジャズ系のバンド、スウィング志向のアーティスト、さらには現代のレトロ志向ユニットまで幅広く取り上げており、時代ごとに解釈を更新しながら演奏され続けている。

現代における評価と影響

Runnin' Wildは、20年代の都会的な活気と解放感を瞬時に伝える楽曲として、映画や舞台、イベントでの時代演出に重宝される。ジャズ・シーンではトラッド/スウィングの定番としてセッションで選ばれる機会があり、ダンサーにとってもチャールストンやフォックストロットに合う安定したグルーヴが魅力。歌付き・インストの双方で映えるため、編成や場面に応じたアレンジの自由度が高い点も支持されている。こうした汎用性が、発表から一世紀近くを経た今日まで息長く演奏される理由だと言える。

まとめ

GIBBS ARTHUR H作曲のRunnin' Wildは、1922年生まれの躍動感あふれるジャズ・スタンダード。シンコペーションを軸にした明快なテーマ、ダンスに適した推進力、歌詞の開放的なムードが融合し、20年代のスピリットを現在に伝えている。映画での象徴的な使用を含め多方面で親しまれ、ヴォーカル/インストの両面から演奏者と聴き手を引きつける、時代を超えた魅力をもつ一曲である。