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Since I Fell For You

  • 作曲: JOHNSON WOODROW BUDDY,
#スタンダードジャズ
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Since I Fell For You - 楽譜サンプル

Since I Fell For You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Since I Fell For You」は、バディ・ジョンソン(本名Woodrow “Buddy” Johnson)が1945年に発表したバラード。彼の楽団と妹エラ・ジョンソンの歌唱で知られ、のちに数多くの歌手に受け継がれた。切ない失恋の痛みと、それでも相手を想い続けてしまう心情を歌う作品で、ジャズとR&Bの橋渡しをする定番曲として定着している。正式な作詞者クレジットは情報不明。歌詞の引用は省略する。

音楽的特徴と演奏スタイル

スロー・テンポに三連のフィールが映えるブルース系バラード。伸びやかな旋律線と、豊かな転回を持つ和声進行が特徴で、ヴォーカルの間合いとニュアンスが勝負どころになる。前奏はピアノやサックスが穏やかに導入し、サビでダイナミックに感情を解き放つ構成が一般的。キー変更やリハーモナイズの余地も大きく、ジャズ・クラブではアドリブを交えた長尺のアレンジも好まれる。インストゥルメンタルでも歌心を重視したフレージングが求められる。

歴史的背景

第二次大戦後、スウィングからR&Bへと潮流が移る時代、バディ・ジョンソンはダンス・バンドと黒人音楽の感性を結びつけたバンドリーダーとして活躍した。本曲はその文脈の中で、ポップ市場にも届く親しみやすさと、ジャズ的な表現力を併せ持つナンバーとして評価を高め、戦後アメリカの音楽地図に確かな足跡を残した。ライヴ・シーンでは、感情表現の幅広さからバラードの定番として位置づけられていく。

有名な演奏・録音

オリジナルのエラ・ジョンソン版に加え、1963年のレニー・ウェルチによるカバーは大きなヒットとなり、曲の知名度を世界的に押し上げた。さらにニーナ・シモン、エッタ・ジョーンズなど多くのジャズ歌手がレパートリーに採用し、アレンジの幅広さを示している。インスト版も各所で録音され、サックスやギターのバラード表現を磨く教材としても親しまれる。映画やテレビでの具体的な使用情報は情報不明。

現代における評価と影響

現在もジャズ・スタンダードとして教育現場やセッションの定番。披露宴やラウンジでも選ばれることが多く、世代を超えて歌い継がれている。配信時代においても複数の名演が継続的に聴かれ、ヴォーカリストの表現力を計るバロメーター的存在として機能。ブルース・フィーリングとポップな親和性の均衡が、今なおリスナーの共感を呼び続けている。

まとめ

普遍的な失恋の情景を、シンプルで奥行きある音楽文法に落とし込んだ佳曲。歌い手にも奏者にも解釈の余地が開かれているため、時代や編成を問わず新しい名演が生まれ続ける。ジャズとR&Bの美点を兼ね備えた、永遠のスタンダードである。