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Strike Up The Band

  • 作曲: GERSHWIN GEORGE
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Strike Up The Band - 楽譜サンプル

Strike Up The Band|楽曲の特徴と歴史

基本情報

George Gershwin作曲、Ira Gershwin作詞による『Strike Up the Band』は、1927年初演の同名ミュージカルのために書かれたショー・チューン。行進曲風の高揚感と明快な旋律が特徴で、その後はジャズ・ミュージシャンに広く取り上げられ、アメリカン・ソングブックを代表する一曲として定着した。歌詞はバンドの演奏開始を鼓舞する内容だが、インストゥルメンタルでも映える構造を持つ。現在ではセッションや教育現場でも頻繁に扱われ、スウィングの語法を学ぶ題材としても重宝されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポは中速から速めに設定されることが多く、強拍を効かせた二拍系の推進力とブラスのユニゾン・リフが映える。ビッグバンドではイントロ後に主要主題を明確に提示し、サクソフォンやトランペットのソロでアドリブを展開、終盤にシャウト・コーラスでクライマックスを築く演奏が定番。コンボ編成ではスウィング感を前面に、簡潔なヘッド・アレンジで機動的に回すスタイルが好まれる。キーや形式は編曲者により多様で、マーチ的アクセントをどう活かすかが聴きどころとなる。

歴史的背景

本曲は風刺劇作家ジョージ・S・カウフマンとガーシュウィン兄弟によるミュージカル『Strike Up the Band』(1927)のために書かれ、1930年の改訂版でも用いられた。第一次大戦後の“ジャズ・エイジ”の空気を反映し、ショー・ナンバーとしての華やかさと都会的な洗練を併せ持つ。舞台を離れて独立曲としても人気を獲得し、スウィング時代を通じてダンスホールやラジオで頻繁に演奏されたことが、ジャズ・スタンダード化を後押しした。以後、演奏形態や編曲を問わず、開幕やアンコールの定番として親しまれている。

有名な演奏・録音

録音では、エラ・フィッツジェラルドが『George and Ira Gershwin Song Book』で鮮烈なスウィングを聴かせ、オスカー・ピーターソンもガーシュウィン作品集で機知に富んだインプロビゼーションを展開。ピアノの巨人アート・テイタムは驚異的な技巧で旋律を再構成し、ショー由来の明快さに超絶的な和声と走句を加えた。さらに、吹奏楽や大学マーチングバンドのレパートリーとしても広く親しまれ、コンサートのオープナーに好んで選ばれている。映画での使用は情報不明だが、録音・舞台での存在感は一貫して高い。

現代における評価と影響

今日では、ジャズ入門者にも取り組みやすいスタンダードとして教材やセッションで重宝される一方、アレンジャーの腕が試されるレパートリーでもある。行進曲的エネルギーとスウィングのしなやかさを両立できるかが評価の鍵で、編曲・演奏の自由度が高いぶん、各バンドの個性がくっきり現れる。アメリカン・ポピュラー音楽史を語る上で欠かせない曲として、現在も録音・舞台で生命力を保ち続けている。

まとめ

ショーから生まれ、ジャズで成熟した『Strike Up the Band』は、明快な旋律と推進力で世代を超えて愛される名曲。演奏者には表現の幅を、聴き手には高揚感をもたらすスタンダードである。