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This Love Of Mine

  • 作曲: SANICOLA HENRY W, PARKER SOL
#スタンダードジャズ
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This Love Of Mine - 楽譜サンプル

This Love Of Mine|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「This Love Of Mine」は、SANICOLA HENRY W(ハンク・サニコラ)とPARKER SOL(ソル・パーカー)による作品。作詞者は情報不明。初出は1941年、トミー・ドーシー楽団のレパートリーとして広まり、当時の専属歌手フランク・シナトラの歌唱で多くの聴衆に届いた。以降、ジャズ/ポピュラー両領域で親しまれるバラードとして歌い継がれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

スローからミディアム・スローのテンポで演奏されることが多く、レガートを生かした繊細なフレージングが要となる。イントロで自由なルバートを用い、主題で脈打つ伴奏に乗せて旋律を大きく歌い上げるのが定石。和声は滑らかな半音進行を多用し、情感の陰影を深める。ビッグバンドではリッチなサステインと分厚いサックス・パッド、小編成ではピアノのテンション・ヴォイシングやミュート・トランペットが質感を彩る。ヴォーカルは語り口の抑揚とブレス位置が表現の鍵となる。

歴史的背景

1941年はスウィング黄金期。ラジオとダンスホールを中心にビッグバンドが全盛で、トミー・ドーシー楽団は甘美な旋律美で人気を博した。若き日のフランク・シナトラは同楽団で頭角を現し、叙情的なバラード解釈で聴衆を魅了。「This Love Of Mine」はその流れの中で広く浸透し、戦時色が強まる社会で内省的な抒情を湛えたナンバーとして支持を集めた。

有名な演奏・録音

最も広く知られるのはトミー・ドーシー楽団による1941年の録音(歌:フランク・シナトラ)。以後、数多くの歌手と器楽奏者が取り上げ、ライヴではピアノ・トリオ伴奏のヴォーカルや、フリューゲルホルン/テナーサックスの抒情的ソロで演奏される例が多い。編曲はビッグバンド用のバラード・スコアから小編成の自由度高いアレンジまで幅広く流通している。

現代における評価と影響

本曲はジャズ・クラブの定番バラードとして根強い人気を保ち、ヴォーカリストの表現力やフロント奏者の歌心を示す選曲として重宝される。音域と息遣いのバランス、情感を支える和声の理解など、学習面での教材価値も高い。配信時代においても年代を超えた録音が聴取可能で、歴史的音源と現代的アプローチを比較できる点が評価されている。

まとめ

「This Love Of Mine」は、1941年の誕生以来、ビッグバンドの華やかさと内省的バラードの美を兼ね備えた名曲として受け継がれてきた。シンプルな旋律に豊かな和声が寄り添い、演奏者の解釈が直接的に響くため、時代を超えて鮮度を保つ。初学者から熟練者まで、歌心とサウンドを磨けるスタンダードである。