Trouble In Mind
- 作曲: MILBURN AMOS, JONES RICHARD M

Trouble In Mind - 楽譜サンプル
Trouble In Mind|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Trouble In Mind」は、米国の作曲家Richard M. Jonesによるブルース系スタンダード。初出は1920年代(多くの資料で1924年)。本記事の入力では作曲者にMILBURN AMOS, JONES RICHARD Mと記載されている。歌詞付きの楽曲で、ジャズ、ブルース双方で演奏される定番曲として長く愛されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式は8小節ブルースが基本。中庸からスローのテンポが選ばれ、メジャー調にブルーノートを織り交ぜるのが典型だ。ヴォーカルと伴奏のコール&レスポンス、終止でのターンアラウンド、ピアノやギターの合いの手、コーラス終盤の一時的な盛り上がりがよく聴かれる。キーは歌い手に合わせて柔軟に移調され、ソロ・コーラスを挟むアレンジも一般的。
歴史的背景
1920年代のシカゴ=ニューオーリンズ系ブルース/ジャズの文脈で生まれ、1926年にはBertha “Chippie” HillがLouis Armstrongのコルネットを従えて録音し、広く知られるようになった。都市化とレコード産業の拡大のなかで、人間の苦悩と耐久力を歌うテキストは共感を集め、女性ブルース歌手のレパートリーを通じてスタンダード化していった。
有名な演奏・録音
名演は数多い。Bertha “Chippie” Hill盤(piano: Richard M. Jones)を嚆矢として、Big Bill BroonzyやDinah Washington、Nina Simoneなど多くの歌手が取り上げた。カントリー/ウェスタン・スウィングの系譜(Bob Wills & His Texas Playboys)やR&B陣営でも録音例があり、解釈の幅は極めて広い。各ジャンルでテンポ、キー、伴奏様式が異なり、それぞれの語法で歌詞の情感が引き出されている。
現代における評価と影響
今日ではブルース・セッションの常連曲であり、ジャズ・ヴォーカルのレパートリーとしても定着。キーやテンポ、編成を柔軟に変えられるため、教育現場やワークショップでも扱いやすい。歌詞は深い憂鬱を率直に語りつつ、いつか状況が好転するという希望を核に据え、時代や文化を越えて共感を生み続けている。
まとめ
「Trouble In Mind」は、シンプルな8小節構造に普遍的なメッセージを託したブルース/ジャズの要石である。1920年代に確立した表現語法を保ちながら、歌い手や編成ごとに異なる解釈を受け入れる懐の深さを持つ。スタンダード入門から表現力の探求まで、多様な場面で価値を発揮する重要曲だ。