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You're Mine You
- 作曲: GREEN JOHN

You're Mine You - 楽譜サンプル
You're Mine You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
You're Mine You は、作曲家ジョニー・グリーン(Johnny Green)と作詞家エドワード・ヘイマンによる1933年のポピュラー・ソング。恋を主題にした歌詞とエレガントな旋律で知られ、のちに多くのジャズ歌手に歌われるスタンダードへと定着した。タイトルが示す所有的な言い回しは強い愛情表現として機能し、感情の高まりを音楽的にも支える。原題表記・出版詳細の初出資料は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は滑らかな跳躍と半音進行が交錯し、艶やかなコード進行がロマンティックな情感を支える。典型的なポピュラー・ソングの構成に基づき、バラードからミディアム・スイングまで幅広く解釈可能。序奏でルバートを用い、テーマはレガート、後半でリズミックに展開する歌唱設計が好まれる。ヴォーカルは豊かなビブラートやダイナミクスで言葉のニュアンスを活かし、器楽ではテンション・ノートを生かした和声処理が映える。
歴史的背景
1930年代はティン・パン・アレー流の作曲術とダンスバンド、ラジオ放送が結びつき、良質な楽曲が広く流通した時代。グリーンは「Body and Soul」「Out of Nowhere」等で知られる名匠で、本作もヘイマンとの名コンビから生まれたロマンティック路線の一曲として受容され、戦後のジャズ界でも生き残った。シート・ミュージックと放送、レコードの相乗効果により、スタンダード化の地盤が整っていたことも普及を後押しした。
有名な演奏・録音
代表的録音として、サラ・ヴォーンが1962年のアルバム「You're Mine You」で取り上げ、クインシー・ジョーンズのアレンジが楽曲の美点を際立たせたことがよく知られる。以降も多数の歌手・小編成コンボが録音しているが、網羅的なディスコグラフィーは情報不明。映画での顕著な使用例も情報不明。ヴォーカル作品に加え、バラード志向の器楽アレンジでも採用され、ナイトクラブやラウンジの定番曲として息長く演奏されている。
現代における評価と影響
現在もヴォーカルのレパートリーとして人気が高く、音大やワークショップでは解釈・発音・和声理解を学ぶ教材曲として扱われることが多い。恋愛表現のニュアンスを丁寧に整えつつ、テンポ設定やフェイクで個性を示せる点が評価され、スタンダード集の中でも「抒情性」を示す代表格となっている。編曲次第でロマンティックなバラードから洒脱なスウィングまで表情を変えられる柔軟性も支持の理由だ。
まとめ
洗練された旋律と普遍的な恋のテーマにより、時代を超えて歌い継がれてきた一曲。決定版は一つに絞れないが、まずはサラ・ヴォーン盤を手がかりに、テンポやアレンジの違いを聴き比べることで、本作の解釈の幅とジャズ・スタンダードとしての強靭さが見えてくる。歌詞の全文引用は避けつつ、言葉と音の関係を味わう鑑賞姿勢が、本曲の魅力を最も引き出してくれるだろう。