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What A Wonderful World
- 作曲: THIELE ROBERT, WEISS GEORGE DAVID

What A Wonderful World - 楽譜サンプル
What A Wonderful World|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「What A Wonderful World」は、Robert Thiele(Bob Thiele)とGeorge David Weissが共作し、1967年にLouis Armstrongが初録音したバラード。ジャズとトラディショナル・ポップの架橋的存在として広く親しまれ、歌詞は日常に潜む美しさへの静かな賛歌で構成される。作曲者はTHIELE ROBERT, WEISS GEORGE DAVID、作詞は主にGeorge David Weissとされる。
音楽的特徴と演奏スタイル
スローなテンポとメジャー調の明快さ、滑らかな順次進行を主体とする旋律が特徴。ハーモニーはジャズ由来のii–V進行やトニック中心の安定感を基調に、柔らかなストリングスと控えめなリズム・セクションが温かい音像を作る。アームストロングのしゃがれた声は言葉の一音一句に間(ま)を与え、語りに近い表現で希望のニュアンスを濃密に伝える。後年のジャズ演奏ではテンポを落としたバラード処理や、フリューゲルホーン/テナーサックスによる甘美な主旋律の歌い回しが定番化。ポップ寄りのカバーではピアノ主導のシンプルな伴奏が選ばれることが多い。
歴史的背景
1960年代後半、社会不安が渦巻く時代に誕生した本曲は、過度な政治色を避けつつ日常の景色を肯定する視点で聴き手を励ました。初出時、米国では必ずしも大きな商業的成功を収めなかったが、英国では高い支持を得て広く浸透。その後、時代を経て映画への起用をきっかけに世界的再評価が進み、アームストロングの代表的名唱として確固たる地位を獲得した。
有名な演奏・録音
決定的名演はLouis Armstrongの1967年録音。以降、数多のカバーが生まれ、とりわけIsrael Kamakawiwo’oleによる「Over the Rainbow」とのメドレー版は広く知られる。シンガーによるヴォーカル版のみならず、トランペットやサクソフォンのインストゥルメンタルも定番化し、ジャズからポップスまで幅広いアーティストがレパートリーに取り入れている。
現代における評価と影響
本曲は卒業式や記念式典、CM、ドラマ、映画などで繰り返し用いられ、世代と国境を越える普遍性を獲得。映画「グッドモーニング,ベトナム」などでの印象的な使用により、新しいリスナーにも届いた。楽曲は「希望」「感謝」「日常の尊さ」といったテーマを象徴するスタンダードとして教育現場や合唱でも取り上げられ、音楽辞典や教科書でも参照される機会が多い。
まとめ
「What A Wonderful World」は、時代の混迷に静かな光を当てるバラードとして誕生し、アームストロングの名唱と数多のカバーを通じて不朽のスタンダードとなった。飾り気のない旋律と言葉が、聴き手の生活へ穏やかな肯定を届け続けている。