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I Am The Walrus

  • 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES
#ビートルズ#洋楽ポップス
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I Am The Walrus - 楽譜サンプル

I Am The Walrus|歌詞の意味と歴史

基本情報

1967年発表。作曲はLENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES(クレジット)。テレビ映画『Magical Mystery Tour』の挿入歌として制作され、同年シングル「Hello, Goodbye」のB面にも収録。アルバム形態では『Magical Mystery Tour』に収められ、ザ・ビートルズ後期を象徴するサイケデリック期の代表曲とされる。

歌詞のテーマと意味

歌詞はジョン・レノンによる意図的なナンセンス。学校での過度な“歌詞解釈”への反発から、意味づけ不能な言葉遊びを連鎖させたとされる。ルイス・キャロル『セイウチと大工』への言及が見られるが、物語的整合性は追求していない。断片的イメージ、音象徴、語呂の快楽を優先し、聴き手に解釈の余地を残す挑発的な作法が核である。引用と連想が渦巻く多義性こそ本作の魅力だ。

歴史的背景

1967年の“Summer of Love”の空気の中、スタジオ技術の革新が急速に進展。バンドはテープ編集、効果音、オーケストラ導入を実験的に駆使した。本曲ではラジオで放送中のシェイクスピア『リア王』音声をリアルタイムに取り込み、合唱隊のシュプレヒコール風コーラスと重ねるなど、当時として先鋭的な制作が行われた。英国では一部放送制限の対象にもなり、話題と論争を呼んだ。

有名な演奏・映画での使用

初出はTV映画『Magical Mystery Tour』の印象的なクリップ。スタジオ重層音像の再現は難度が高いが、後年の“Love”プロジェクトではサーキュ・デュ・ソレイユのショウ用にリミックスされ、立体的なサウンド設計で再評価を得た。カバーは多数あり、オアシスの荒々しいライヴ版は90年代ブリットポップ文脈で注目を集め、世代を超えた影響力を示した。

現代における評価と影響

今日、本曲はサイケデリック・ロックとスタジオ芸術の接点を示す金字塔として評価される。意味の不定性と音像の多層性は、後のアート・ロックやオルタナ、コラージュ的ヒップホップの発想にも連なる。批評家投票の名曲リストにしばしば登場し、ビートルズの“実験性”を象徴する作品として教育・研究の題材にもなっている。音楽的冒険が大衆ポップの枠を広げた例として位置づけられる。

まとめ

「I Am The Walrus」はメッセージの明快さよりも、意味の解体と音の冒険を楽しむための楽曲である。サウンド・コラージュ、合唱、オーケストラ、ラジオ素材の導入が生むカオティックな快感は、半世紀を経てもなお鮮烈。ポップと前衛の結節点として、いまなお聴き継がれる理由がここにある。