I'll Follow The Sun
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

I'll Follow The Sun - 楽譜サンプル
「I'll Follow The Sun|歌詞の意味と歴史」
基本情報
ビートルズの「I'll Follow The Sun」は、レノン=マッカートニー名義のバラード。1964年のアルバム『Beatles for Sale』収録で、ボーカルはポール・マッカートニー。アコースティック・ギターを中心に、短いギター・ソロと繊細なコーラスが映える、2分弱の小品だ。力みのない歌唱と控えめな伴奏が、楽曲の親密さと余韻を引き立てている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は別れを見据えつつも前を向く心情を扱い、「太陽に従って歩む」という比喩で再生と希望を示す。未練や痛みを抱えながらも停滞を選ばず、新しい一歩を踏み出す決意が、柔らかなメロディと控えめな伴奏に支えられている。感傷に流れず、明日を信じる態度が簡潔な言葉で表され、普遍的な共感を呼ぶ構成だ。
歴史的背景
本曲はポールが10代の頃に書きためたアイデアを基に、バンドの成熟期に再構成されたと伝えられる。ビートルズが多忙なツアーで疲弊しつつも、フォーク寄りの音像や内省的な楽曲を増やした時期と重なり、アルバム全体の陰影を担う役割を果たした。録音場所はロンドンのEMIスタジオ。派手さより楽曲本来の魅力を届ける方向へ舵を切った同時期の姿勢が、ここにも明確に表れている。
有名な演奏・映画での使用
代表的演奏はスタジオ版で、親密な音像と緻密なハーモニーが評価される。リリース後は多数のアーティストにカバーされ、弾き語りの定番としても広まった。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明。テレビやラジオでの当時の具体的放送履歴も情報不明だが、シンプルな構成ゆえ各種ライブで取り上げやすく、長く愛奏されてきた。
現代における評価と影響
現在では、初期マッカートニー流バラードの原点として言及されることが多い。簡潔な構成と記憶に残る旋律は、フォーク・ポップやシンガーソングライター系の書法に影響を与え、ポップスにおける“短く、美しく、要点を射抜く”ソングライティングのお手本として評価が定着。配信時代でも聴き疲れしない永続的な魅力を示している。
まとめ
「I'll Follow The Sun」は、別れと希望を静かに同居させる普遍的なテーマ、そして無駄のない編曲で長く聴き継がれてきた。大仰なドラマを避け、言葉と旋律の余白で情景を結ぶ作りは、ビートルズの多面性を示す好例。コンパクトな時間に凝縮された表現力が、今も輝きを放ち続けている。