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Junk
- 作曲: MCCARTNEY PAUL JAMES

Junk - 楽譜サンプル
Junk|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Junk」はポール・マッカートニーのソロ・デビュー作『McCartney』(1970年、Apple)収録の小品バラード。作曲・作詞は本人。ボーカル曲「Junk」に加え、同メロディを用いたインストゥルメンタル「Singalong Junk」も同アルバムに併録され、素朴な宅録サウンドの象徴的存在として知られる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は古道具や日用品が並ぶ情景を静かに描写し、持ち主の記憶や時間の経過を示唆する。具体的な物の列挙がノスタルジアと喪失感を呼び起こし、過去へのやさしい眼差しと、手放すことの切なさを滲ませる。短い行と余白が多く、メロディの温もりが言外の感情を補っている。
歴史的背景
楽曲の原型は1968年、ビートルズのエッシャー・セッションでのデモに遡るが、当時は未発表。解散期の空気の中、マッカートニーは自宅やロンドンのスタジオで多重録音を重ね、1970年のソロ作に収めた。親密で内省的な作風は、アルバム全体のDIY美学を代表している。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音は『McCartney』収録のオリジナルと「Singalong Junk」。前者は素朴なボーカルとアコースティック主体の伴奏、後者は歌のない旋律美が際立つ。ビートルズ『Anthology 3』(1996年)にはエッシャー・デモが収録。映画・テレビでの顕著な使用は情報不明。
現代における評価と影響
派手さはないが、旋律の端正さと感情の節度が高く評価され、アルバムのハイライトの一つに挙げられることが多い。シンプルな編成と宅録的質感は、その後のベッドルーム・ポップ的アプローチにも通じ、マッカートニーの職人的メロディ感覚を示す好例として語られる。
まとめ
「Junk」は、日常の断片から普遍的な感情をすくい上げる静謐なバラードであり、作曲家マッカートニーの本質を素朴に伝える。ソロ初期の文脈、インスト版との対照、ビートルズ期デモの存在までを併せて聴くことで、その魅力は一層明瞭になる。