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Song For My Father

  • 作曲: SILVER HORACE
#スタンダードジャズ
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Song For My Father - 楽譜サンプル

Song For My Father|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Song For My Fatherは、SILVER HORACE(ホレス・シルヴァー)によるジャズの代表的スタンダード。原曲はホレス・シルヴァー・クインテットの演奏で広く知られ、ピアノ、トランペット、テナーサックスを中心とする小編成で録音されたインストゥルメンタル楽曲である。同名アルバムの看板曲として1960年代に注目を集め、以後はジャム・セッションや音楽教育の現場で定番化。Real Book系の教材にも収載され、プロ・アマ問わず多くの奏者に演奏され続けている。歌詞は存在せず、旋律とグルーヴの魅力でリスナーを惹きつけるタイプのナンバーだ。

音楽的特徴と演奏スタイル

中速のラテン・フィールに支えられた反復的なベース・リフと、耳に残るシンプルで歌えるテーマが最大の特徴。ピアノのオスティナートがグルーヴの芯を作り、ホーンがコール&レスポンス的にフレーズを重ねる構図が印象的だ。ソロは明快なコード進行上で発展し、アドリブの入り口としても親しみやすい。演奏では、リズム隊が横のうねりを保ちつつ、フロントは音価を短めに置いてシンコペーションを際立たせると効果的。スウィングへの切り替えやダイナミクスのコントラストを設ける編成も多く、ライブでの展開力が試される。

歴史的背景

楽曲はハード・バップからソウル・ジャズへと移行していく1960年代の潮流の中で誕生。ブルーノート流の録音美学と、当時のジャズが積極的に取り入れていたラテン/アフロ由来のリズム感が融合し、親しみやすさとモダンさを併せ持つ作品となった。タイトルが示すとおり、作曲者が自身の父に捧げた曲として知られ、敬意と温かみのあるメロディが楽曲全体の精神性を形作っている。同名アルバムの成功が本曲の評価を決定づけ、以後シルヴァー作品の中でも最も広く演奏される1曲になった。

有名な演奏・録音

決定版として参照されるのは作曲者自身のオリジナル録音で、端正なアンサンブルと推進力のあるリズムが作品の魅力を余すところなく伝える。以後、ピアノ・トリオからクインテット、さらにはビッグバンド用の編曲まで多くのヴァージョンが生まれ、クラブやコンサート、教育現場でも頻繁に取り上げられてきた。ホーン・ユニゾンでテーマを強調するアレンジ、ピアノの左手リフを拡張するバリエーション、パーカッションを加えたラテン色の強い解釈など、演奏スタイルは多彩である。

現代における評価と影響

今日では“最初に覚えるラテン系スタンダード”の筆頭として挙げられることが多く、セッション現場ではキー、テンポ、フォームの共有が容易なため採用率が高い。親しみやすいリフはジャズ外のリスナーにも訴求し、ポップ/ロック方面への影響が語られることも多い(ある有名なロック・バンドのヒット曲の冒頭リフに着想を与えた言及が知られる)。教育面では、シンコペーションの体得、モチーフ展開の練習、ラテン・フィールとスウィングの切替え練習に適した教材として定評がある。

まとめ

Song For My Fatherは、シンプルな素材と確かなグルーヴで時代を超えて愛されるジャズ標準曲である。ラテンの躍動感、覚えやすいテーマ、アドリブの自由度という三要素が揃い、初心者から上級者まで多面的に楽しめる。オリジナル録音に触れつつ、自分の編成や得意なフィールに合わせてアレンジ幅を探ることで、楽曲の真価がさらに立ち上がるだろう。