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All His Children

  • 作曲: MANCINI HENRY NICOLA
#洋楽ポップス#ムードミュージック
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All His Children - 楽譜サンプル

All His Children |作品の特徴と歴史

基本情報

All His Children は、作曲ヘンリー・マンシーニ、作詞アラン&マリリン・バーグマンによる映画主題歌。1971年公開の映画 Sometimes a Great Notion(監督・主演ポール・ニューマン、原作ケン・キージー)のために書かれ、カントリー歌手チャーリー・プライドが歌唱した。第44回アカデミー賞(1972年)歌曲賞にノミネートされ、映画音楽におけるマンシーニの多面的な才能を示す一曲として知られる。

音楽的特徴と表現

マンシーニらしい豊かなストリングスと木管のレガートに、チャーリー・プライドの温かいバリトンが重なる抒情バラード。オーケストラの流麗なテクスチャと、アコースティック志向の素朴な音色感が溶け合い、旋律は大きなアーチを描いて情感を高める。タイトルが示す霊性や普遍性を、過度な技巧に頼らず端正なハーモニー運びで支える設計が特徴。歌詞の詳細は情報不明だが、節度ある編曲が映画の情緒を静かに補強する。

歴史的背景

1960年代に「ムーン・リバー」などで名声を確立したマンシーニは、70年代初頭も第一線の映画作曲家として活躍。本作では、映画音楽とポピュラー・ソングの橋渡しに長けたバーグマン夫妻と再びタッグを組み、文学原作映画の重層的なドラマに寄り添う主題歌を提示した。時代的にもクロスオーバーが進んだ時期で、カントリー的要素とシンフォニックな筆致の融和が意識されている。

使用された映画・舞台(該当時)

主題歌は Sometimes a Great Notion のために制作され、映画本編で要所に用いられる。材木伐採を営む一家と地域社会の物語に対し、歌は静かな決意と連帯感を象徴する役割を担い、映像の情景と呼応しながら感情の輪郭を際立たせた。映画の人間ドラマを過度に説明せず、音楽の余白で受け止めるマンシーニの手腕がうかがえる。

現代における評価と影響

本曲は、マンシーニの旋律美とバーグマン夫妻の言語感覚が結実した佳作として、映画音楽史の文脈で評価される。第44回アカデミー賞歌曲賞では受賞は逃し(受賞作は「Theme from Shaft」)、しかしノミネート自体が完成度の高さを物語る。顕著なカバーやチャート成績の詳細は情報不明だが、オーケストラとアメリカン・ルーツの感触を丁寧に混交させた設計は、今日のフィルム・ソングにも通じる示唆を与える。

まとめ

「All His Children」は、物語性と普遍的な情感を結びつけた映画主題歌であり、マンシーニの多才さを示す一篇である。豪奢に過ぎない編曲、雄弁な旋律、温かな歌唱が、作品世界の倫理や共同体の手触りを穏やかに照らす。制作年や作家陣が明確で資料価値も高く、映画とポピュラー音楽の接点を学ぶ上での好例と言える。