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Cherokee
- 作曲: NOBLE RAY

Cherokee - 楽譜サンプル
Cherokee|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Cherokee」は英国出身の作曲家Noble Ray(Ray Noble)による1938年の楽曲。歌詞付きで書かれたが、現在はジャズ・スタンダードとして主に器楽演奏で親しまれる。形式はAABAの64小節で、ジャム・セッションやコンボの定番曲。メロディは印象的で、スウィング期のエレガンスを保ちつつ、のちのビバップへ架け橋となる和声構造を備える。
音楽的特徴と演奏スタイル
高速テンポで演奏されることが多く、Aセクションでは頻繁な転調と連続するII–V進行が特徴。ブリッジは循環進行を軸に据え、ソロにはガイドトーンの連結、コード分解(アルペジオ)、アプローチ・ノートの精密な使い分けが求められる。メロディは跳躍と細かな分割句が多く、呼吸管理と指回りの両面で難度が高い。練習ではフォームの暗記、基準音の歌唱、メトロノームでの裏拍確認が有効。
歴史的背景
本曲は1930年代末のスウィング期に発表され、米国のダンス・バンド・シーンを通じて広まった。タイトルや副題“Indian Love Song”は当時の命名慣習を反映するもので、今日では文化的配慮の観点から再検討の対象にもなる。戦後にはビバップ勃興を支える重要レパートリーとなり、難解な和声進行は即興語彙の拡張に寄与した。
有名な演奏・録音
チャーリー・バーネット楽団の1939年のヒットで一般に浸透。クリフォード・ブラウン(1955『Study in Brown』)はハイテンポでの決定的名演として知られる。メイナード・ファーガソンの強烈なハイノート版も有名。さらに、チャーリー・パーカーの「Ko-Ko」(1945)は本曲のコード進行を基にした作品としてジャズ史上の金字塔とされる。
現代における評価と影響
「Cherokee」はセッションの腕試し曲として定着し、音楽大学やワークショップでも頻繁に扱われる。テンポ管理、フォーム認識、転調対応力の訓練に最適で、教育的価値が高い。配信時代でも新録が途切れず、世代やスタイルを超えて解釈が更新され続けている。ビバップの語彙形成に与えた影響は現在も色褪せない。
まとめ
「Cherokee」はスウィングの洗練とビバップ的難度を両立した名曲。歌詞付き作品として生まれたが、今日では器楽演奏の代表的教材かつレパートリーとして不動の地位を占める。名演に触れつつ、自身のキーで段階的にテンポを上げ、和声の要点を体得することで、この曲の真価が鮮やかに立ち上がる。