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Maria Elena
- 作曲: BARCELATA CASTRO LORENZO

Maria Elena - 楽譜サンプル
Maria Elena|歌詞の意味と歴史
基本情報
メキシコの作曲家ロレンソ・バルセラータ(正式表記: BARCELATA CASTRO LORENZO)による1932年のボレロ。原題はスペイン語「María Elena」。恋歌として広く親しまれ、ラテン圏のみならず英語圏でも数多くカバーされた。作詞者は情報不明。オリジナルは歌付きだが、その旋律美から器楽版も多く、ジャンルを横断して演奏されてきた。
歌詞のテーマと意味
歌詞は“マリア・エレナ”という女性に語りかけ、彼女の存在を光や慰めに喩えながら永遠の愛を誓う内容。比喩はシンプルだが、下降と上行を巧みに組み合わせた旋律が感情の波を支え、静かな告白から高揚へ至る弧を描く。ボレロ特有のゆったりした2拍系にのせ、親密で私語的な口調が綴られる点が魅力である。
歴史的背景
1930年代のメキシコは、舞踏音楽とラジオ文化の発展でボレロが黄金期を迎えていた。本曲もその潮流の中で誕生し、サロンやキャバレーのレパートリーとして定着。やがて国境を越え、米国のダンス・バンドやクロスオーバー歌手に採り上げられ、スペイン語曲が英語圏で定番化する流れの一翼を担った。
有名な演奏・映画での使用
有名な演奏として、1940年代のジミー・ドーシー楽団による録音が全米チャート上位に進出し、スタンダードとしての地位を固めた。さらに1963年、ブラジルのデュオ、ロス・インディオス・タバハラスのギター版が世界的ヒットとなり、器楽曲としても再評価が進む。映画での具体的な使用作品は情報不明。
現代における評価と影響
今日ではラテン、イージーリスニング、ジャズの各文脈で演奏され、ギター二重奏や弦楽編成、ビッグバンドなど編曲の幅も広い。メロディの可塑性が高く、テンポや和声を変えても楽曲の核が失われないため、教育現場やコンクールの自由曲としても重宝される。配信時代でもカバーが途切れない定番曲だ。
まとめ
Maria Elenaは、普遍的な愛のモチーフと、ボレロの優雅さを兼ね備えた名曲である。1930年代に生まれ、世紀を超えて器楽と歌の双方で生き続けるその歩みは、ラテン音楽が世界に開かれていく過程を象徴している。端正な旋律と柔らかなリズムは、今なお新たなリスナーと演奏家を惹きつける。