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Coo Coo Roo Coo Coo, Paloma

  • 作曲: MENDEZ SOSA TOMAS
#洋楽ポップス#ラテン
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Coo Coo Roo Coo Coo, Paloma - 楽譜サンプル

Coo Coo Roo Coo Coo, Paloma|歌詞の意味と歴史

基本情報

本作はメキシコの作曲家トマス・メンデス(Tomás Méndez Sosa)による大衆歌で、一般にはスペイン語題「Cucurrucucú Paloma」として知られる。ここでは提供表記「Coo Coo Roo Coo Coo, Paloma」に従う。作詞者および初演年は情報不明。言語はスペイン語で、ランチェラ/ワパンゴの文脈で広く歌われ、マリアッチ編成からギター独奏伴奏まで多様なアレンジが存在する。世界各地で数多くの歌手により録音され、ラテン音楽を代表するスタンダードの一つとして定着している。

歌詞のテーマと意味

タイトルの反復語はハトの鳴き声を模した擬音で、恋の嘆きや未練を象徴する。歌詞は失われた愛、胸を締めつける孤独、涙に満ちた夜をうたう哀歌的内容が中心で、ハトは伝統的に平和や純愛のメタファーとして扱われる。旋律線は長いレガートとオルナメントを伴い、ため息のようなフレーズやフェルマータが感情の波を描く。激しい絶叫ではなく、内省的な語り口から次第に高揚し、未練と祈りが同居するカタルシスへと導く構成が聴きどころだ。

歴史的背景

本曲は1950年代のメキシコで隆盛したランチェラ/ソン・ウアステコの流れに位置づけられる。農村や都市の大衆文化、映画の黄金期と結びつき、愛と別離を歌う感情表現が支持された。メンデスは「Paloma Negra」などで知られる名匠で、語りと歌を往還する節回し、セスキアルテラ(3拍子と2拍子の交錯)を活かしたリズム感、声の張り上げと繊細さの緩急を得意とした。本曲もその文法を受け継ぎ、メキシコの音楽的アイデンティティを世界に広める役割を担った。

有名な演奏・映画での使用

代表的な解釈として、ロラ・ベルトランによる力強いマリアッチ伴奏版、カエターノ・ヴェローゾの静謐なギター伴奏版が広く評価される。後者はペドロ・アルモドバル監督『トーク・トゥ・ハー』(2002)でのライヴ歌唱シーンに用いられ、国際的な再評価を決定づけた。ほかにもメキシコの名歌手たちが数多く録音しており、コンサートのアンコールやセレナータの定番曲として親しまれている。具体的な初出媒体や最初の録音年は情報不明。

現代における評価と影響

今日ではラテン音楽入門の必聴曲として位置づけられ、クラシック声楽家やポップ・ミュージシャンにも取り上げられるなど、ジャンル横断的な広がりを見せる。テンポや伴奏を抑えたミニマルな解釈から、フル・マリアッチによる劇的なバージョンまで、編曲の自由度が高い点も普遍性を支えている。ストリーミング時代においても再生回数の多いレパートリーであり、スペイン語圏外の観客にも感情が直接届く歌として評価が定着した。

まとめ

「Coo Coo Roo Coo Coo, Paloma」は、喪失の痛みと愛の記憶を、鳥のさえずりの擬音で象徴化したメキシコの名歌である。作曲者メンデスの確かな語法、素朴でありながら深い情感、場面を問わず映える可塑性が長命の理由だ。詳細な初出情報や作詞者は情報不明ながら、数多の名唱と映像作品を通じて、世代と国境を超えて歌い継がれている。