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Taboo

  • 作曲: LECUONA MARGARITA
#ラテン
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Taboo - 楽譜サンプル

Taboo |楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Taboo(原題:Tabú)」は、キューバの作曲家マルガリータ・レクオーナが1934年に書いたアフロ・キューバン系の楽曲。のちに英語詞が付けられ、ラテン〜ジャズの枠で広く演奏されるスタンダードとなった。作曲者はLECUONA MARGARITA。作詞は原詩がレクオーナ、英語詞はBob Russellとされるが、版元表記は地域により差異がある。主なジャンルはルンバ/ラテン・ジャズ。歌唱版も存在するが、インストゥルメンタルでも強い存在感をもつ。

音楽的特徴と演奏スタイル

陰影のある短調旋律と、ハバネラ由来のシンコペーション、クラーベ(2–3/3–2)の揺らぎが核。導入のオスティナートと半音階的な進行が“禁忌”の妖しさを醸す。打楽器群(コンガ、ボンゴ、ティンバレス)に加え、ホーンやピアノがリフを重ねるのが典型。エキゾチカ系ではヴィブラフォンやマリンバが主役となり、中低速のテンポで空間的な残響を生かす。ジャズ・コンボではマイナー・ブルース的な即興語法とラテン・リズムを交差させ、モーダルな引き伸ばしも相性がよい。

歴史的背景

1930年代のハバナでは、アフロ・キューバン音楽が都市のダンス文化と結びつき洗練を深めていた。本曲はその潮流を背景に誕生し、40年代以降、米国のラテン楽団やビッグバンドのレパートリーへと浸透する。50年代にはラウンジ/エキゾチカの隆盛が追い風となり、北米・日本でも「ラテンの神秘」を象徴する楽曲として定着した。

有名な演奏・録音

マーティン・デニーやアーサー・ライマンによる洗練されたインストゥルメンタルが広く知られ、彼らの代表作にも位置づけられる。ラテン側ではマチート率いるアフロ・キューバンズなどが取り上げ、ジャズ界でも各種ビッグバンドや小編成がレパートリー化した。歌唱版は英語詞・スペイン語詞ともに多数の録音が存在するが、代表的歌手の決定的リストは情報不明。

現代における評価と影響

今日でもラテン・ジャズの標準曲としてジャムで扱われ、映画音楽や広告で“エキゾチック”な情緒を喚起する参照源として用いられることがある。ヴィブラフォン主体のアレンジはシティポップ/チル系の文脈で再評価が進み、クラブ・シーンでもオーセンティックなラテン・リズムと相性が良い。音名やコード進行が明快なため、教育現場のラテン・アレンジ教材としても扱いやすい。

まとめ

Tabooは、アフロ・キューバンの語法とポピュラー性を兼ね備えた不朽のスタンダードである。歌唱・インスト双方で魅力を放ち、時代ごとのサウンドデザインを受け止めながら、核心のリズム的磁力は失われていない。