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ひこうき雲

  • 作曲: 荒井 由実
#松任谷由実#邦楽ポップス
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ひこうき雲 - 楽譜サンプル

ひこうき雲|歌詞の意味と歴史

基本情報

荒井由実が作詞・作曲した「ひこうき雲」は、1973年発表のデビュー・アルバム『ひこうき雲』の表題曲。ピアノを軸にした透明感のあるアレンジと、伸びやかなメロディが特徴の日本語ポップスで、のちに松任谷由実として知られる彼女の初期代表曲に位置づけられる。レコーディングや詳細クレジットの一部は情報不明だが、当時の新しい感覚を持つ“ニュー・ミュージック”の空気をまとい、今も幅広い世代に親しまれている。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示す“空に残る白い軌跡”は、儚さとまっすぐな上昇のイメージを同時に喚起する。歌詞は別れや喪失を想起させつつ、空を見上げる視線に希望や解放感を重ね、感情の陰影を丁寧に描く内容だ。直接的な説明を避け、比喩や景色の描写で心象を伝えるため、聴き手は自身の体験に重ねて解釈できる。ピアノ中心の伴奏とコーラスの重なりが、淡い哀感と清冽さを同居させ、曲名のイメージを音として立ち上げている。

歴史的背景

1970年代前半の日本の音楽シーンは、歌謡曲からシンガーソングライター主導の表現へと移行期にあった。「ひこうき雲」はその潮流の中で登場し、個人的な感情を普遍的な風景へ昇華する作法を提示した点で重要である。都会的な感性とフォーク/ポップの融合は、同時代の若い聴衆に新鮮に受け止められ、彼女の創作の方向性を決定づけた。初出の具体的なチャート成績や販売枚数は情報不明だが、作品自体は長く歌い継がれてきた。

有名な演奏・映画での使用

本曲は2013年公開のスタジオジブリ映画『風立ちぬ』(監督:宮崎駿)の主題歌として起用され、発表から40年を経て大きく再評価された。飛行機と空への憧れというモチーフが映像世界と呼応し、エンディングで流れることで余韻を強めた。これを機にテレビやコンサートでの披露も増え、カバー演奏も広がったとされるが、網羅的なリストは情報不明。映画との結び付きは、作品の認知を決定的に押し上げた出来事である。

現代における評価と影響

「ひこうき雲」は世代やメディアを超えて聴かれるスタンダードとして定着した。シンプルなコード運びと歌い上げすぎない旋律は、シンガーソングライターやポップスの後続世代に影響を与え、学校・合唱やアコースティック編成でも取り上げやすい。ストリーミング時代に入ってからも発見され続け、プレイリスト文脈で新たな聴き手に届いている。批評面でも、個人の喪失を普遍の景色に翻訳する作詞の手腕が高く評価される。

まとめ

1973年の登場から現在まで、「ひこうき雲」は時代を超える普遍性を保ち続ける。簡潔な言葉と象徴的イメージ、澄明なサウンドが結び付き、別れと希望という相反する感情を静かに抱擁する名曲だ。映画『風立ちぬ』での再注目を契機に、初期ユーミンの魅力があらためて共有された。本稿で触れられなかった細部のデータは情報不明としたが、作品の核は今も変わらず、空を見上げるたびに思い出される。