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Blues In The Night
- 作曲: ARLEN HAROLD

Blues In The Night - 楽譜サンプル
「Blues In The Night|楽曲の特徴と歴史」
基本情報
Blues In The Night は、作曲ARLEN HAROLD、作詞Johnny Mercer による1941年の楽曲。映画『Blues in the Night』のために書かれ、その後ジャズ・スタンダードとして定着した。ブルースの情感を軸にしつつも、都会的な和声と印象的な旋律で幅広い歌手・バンドに愛されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
古典的なヴァースから本編へ移る構成を持ち、半音階的進行やブルーノートが要所に現れる。ミディアム〜スローテンポでのスウィングが定番で、ビッグバンドではホーンのリフ応酬、小編成ではウォーキング・ベースと余韻の長いフレージングが映える。ヴォーカルは語り口を生かしたルバートから、グルーヴに乗る展開が効果的。
歴史的背景
本曲は第二次大戦前夜のアメリカで制作され、夜の気分や放浪の寂寥を描く世界観が映画の物語性と響き合った。Mercer–ARLEN HAROLD のコンビは当時から多作で、本曲もその成熟期の成果の一つ。公開と同時に評判を呼び、楽譜・レコード市場で急速に広まった。
有名な演奏・録音
数多の録音が残るが、エラ・フィッツジェラルドの『Harold Arlen Song Book』収録版は編曲の妙と発声の陰影で評価が高い。作詞者ジョニー・マーサー自身の歌唱も味わい深く、フランク・シナトラの録音はスウィング感とドラマ性で知られる。器楽ではトランペットやテナーサックスのバラード解釈も定番。
現代における評価と影響
今日ではジャム・セッションやジャズ教育の現場でも取り上げられ、語りと歌の境界を行き来する表現力の教材として重宝される。映画由来の叙情性は、フィルム・ノワール的な音像を求める舞台・映像作品にも親和的で、編成やテンポの自由度が高いことも継続的な人気を支えている。
まとめ
映画歌として生まれ、ジャズ・スタンダードへと定着した本曲は、ブルースの情感と洗練された和声語法を両立する稀有な一例である。歌でも器楽でも物語性が立ち上がるため、解釈の幅が広い一方、フレーズの間合いとハーモニー理解が鍵となる。初学者から上級者まで取り組む価値が高い。