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East Of The Sun

  • 作曲: BOWMAN BROOKS
#スイング#スタンダードジャズ
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East Of The Sun - 楽譜サンプル

East Of The Sun|楽曲の特徴と歴史

基本情報

East Of The Sun(しばしば “East of the Sun (and West of the Moon)” と表記)は、ジャズ・スタンダードとして定着した名曲。作曲はBrooks Bowman。入力上の作曲者表記「BOWMAN BROOKS」は同人物の表記ゆれとして一般に認識されている。1934年、プリンストン大学のミュージカルで発表されたと伝えられ、歌詞付きの楽曲である。日本語では「太陽の東、月の西」と紹介されることもある。

音楽的特徴と演奏スタイル

32小節AABA形式を基調に、滑らかなメロディと循環するII-V進行が特徴。テンポはミディアム・スイングからバラードまで幅広く、ヴォーカルでは歌詞の抑揚を活かすレガート、器楽では内声のガイドトーンを明確にしたアドリブが好まれる。ブリッジ(B)での和声の推進力が即興の起点になりやすく、サブドミナント・マイナーや副次ドミナントの扱いが表情を左右する。イントロやアウトロの付加による解釈の余地も広い。

歴史的背景

本曲は1934年、プリンストン・トライアングル・クラブのレビュー『Stags at Bay』のために書かれ、まもなくスウィング時代のレパートリーへと拡散した。詩的で夢想的なタイトルは当時のポピュラー・ソングの美学に合致し、ダンスバンドやラジオでも親しまれた。出版や上演の詳細資料は残る一方、初演歌手や初録音年の特定については情報不明の点がある。

有名な演奏・録音

代表的録音として、サラ・ヴォーンの名盤(Clifford Brown参加作)での歌唱は決定版の一つとして広く認知される。フランク・シナトラも楽団時代から取り上げ、後年のソロでも再録したことで知られる。ほかにも多数のヴォーカリストやスモール・コンボがレパートリーに加え、テンポ、キー、イントロ処理など解釈のバリエーションが豊富で、学習・鑑賞双方で参照価値が高い。

現代における評価と影響

今日でもセッションの定番曲として息長く演奏され、音楽教育の現場でも理論学習と実践をつなぐ教材として重宝される。和声運動が明確で、初学者はガイドトーン・ラインやAABAの構造把握に適し、中上級者は内声処理、置換和音、テンポ・フィールの選択で個性を提示できる。配信時代においても録音の蓄積が豊富で、スタンダードの魅力を再発見させるポータルとなっている。

まとめ

East Of The Sunは、詩情ある旋律と堅固な和声設計を併せ持つため、時代を超えて演奏され続ける。歴史は古典的だが解釈は常に更新可能で、ヴォーカルと器楽の双方が魅力を引き出せる稀有な楽曲だ。初めて取り組む人はAABA構造とブリッジの流れを押さえ、名演に耳を傾けつつ自分のテンポ感で表現を磨くとよい。