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Boulevard Of Broken Dreams, The
- 作曲: WARREN HARRY

Boulevard Of Broken Dreams, The - 楽譜サンプル
Boulevard Of Broken Dreams, The|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Boulevard Of Broken Dreams, The」は、作曲WARREN HARRY(ハリー・ウォーレン)、作詞Al Dubinによる1933年の楽曲。英語詞の歌曲で、のちに多くのジャズ/ポップ歌手に取り上げられ、スタンダードとして親しまれてきた。1934年の映画『ムーラン・ルージュ』で劇中歌として使われ、都会の孤独と夢のはかなさを描くタイトルが印象的だ。出版・初演の詳細なクレジットや初出媒体の細部は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
AABAの32小節形式を基調とし、哀愁を帯びた旋律線と陰影のある和声進行が核となる。中庸からスローのテンポで歌われることが多く、ヴォーカルは語り口を重視しながらダイナミクスを大きくとる演奏が主流。間奏ではサックスやピアノの短いソロが置かれる編成が定番で、ジャズ化されたアレンジではブラシを活かしたスウィングやラテン風の揺らぎを加える場合もある。インストゥルメンタル版も少なくないが、歌詞の情景性が強いため歌ものとしての録音が中心だ。
歴史的背景
楽曲が世に出た1930年代前半は、世界恐慌を経たアメリカ社会が陰影を帯びていた時期である。ハリー・ウォーレンとアル・デュビンの名コンビは映画音楽やポピュラーソングで数々のヒットを放ち、本曲もその文脈に位置づけられる。ナイトクラブ文化や大都会のネオンが象徴する「夢」と、その裏側にある孤独を詩情豊かに描き、当時の聴衆の感情に訴えた。映画『ムーラン・ルージュ』(1934年)での使用が知名度を押し上げ、以後ジャズ歌手のレパートリーに定着した。
有名な演奏・録音
数ある録音の中でも、トニー・ベネットが1950年に発表したヴァージョンは広く知られ、彼の初期代表曲として言及されることが多い。ほかにも複数のジャズ・ヴォーカリストやビッグバンドが取り上げ、バラードからスウィング寄りまでアレンジの幅が広い。初期のチャート動向や具体的なオリジナル・キャストの詳細は情報不明だが、戦後も繰り返し録音され、アーカイヴには多彩な解釈が残されている。
現代における評価と影響
今日ではグレイト・アメリカン・ソングブック系のリサイタルやジャズ・クラブで定番曲の一つとして扱われ、失われた夢を歌う叙情的レパートリーの好例とされる。一方、ロック・バンドGreen Dayのヒット曲「Boulevard of Broken Dreams」(同名異曲)と混同されやすいため、作曲者名や年代を添えて区別する記述が推奨される。映像作品や舞台での再利用も見られるが、近年の個別事例の網羅的一覧は情報不明。
まとめ
哀感漂うメロディと簡潔なAABA構成で、映画音楽発のポピュラーソングがいかにジャズ・スタンダードへ育つかを示す一曲。作曲WARREN HARRY、作詞Al Dubinという黄金コンビの職人芸が光り、現代でも歌い継がれる価値を持ち続けている。