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Charade

  • 作曲: MANCINI HENRY NICOLA
#洋楽ポップス#ムードミュージック#映画音楽
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Charade - 楽譜サンプル

Charade|作品の特徴と歴史

基本情報

Charadeは、作曲家ヘンリー・マンシーニ(Henry Nicola Mancini)が手がけた映画『シャレード』(1963年、監督スタンリー・ドーネン、主演オードリー・ヘプバーン/ケイリー・グラント)の主題歌・主要テーマで、作詞はジョニー・マーサー。公開当時にアカデミー賞歌曲賞へノミネートされ、映画音楽とポピュラーソングの双方で広く知られる存在となった。原題は“Charade”で、日本公開時タイトルは『シャレード』。サウンドトラックにはオーケストラ版と歌唱版が併存し、劇伴と楽曲の橋渡しをする典型的なマンシーニ作品である。

音楽的特徴と表現

本曲は上品なワルツ(3拍子)を基調に、短調を思わせる憂いと洗練を両立させた旋律が核となる。冒頭から流れる印象的な主題は、半音階的な動きと滑らかなフレーズ設計により、謎めいたサスペンスとロマンスを同時に喚起。和声はジャズの語法に根差したテンションを含みつつ、クラシカルな声部処理と映画音楽的ダイナミクスで展開される。オーケストレーションは弦楽の艶やかさを中心に、木管や柔らかな金管、パーカッションの繊細な彩りを配し、都市的で洒脱、かつ物語の陰影を映す音色設計が徹底されている。

歴史的背景

1960年代初頭のハリウッドでは、メインテーマが映画のアイデンティティを担い、同時にラジオやレコード市場でも独立して流通する潮流が強まっていた。マンシーニはその中心的人物で、Charadeも『ティファニーで朝食を』の“Moon River”や『酒とバラの日々』と並び、映画とポピュラー音楽の接点を鮮やかに示した一作に数えられる。映画の舞台はパリで、洗練と謎解きのムードを音楽面から強固に支えることで、作品全体のブランド化に寄与した。受賞には至らなかったものの、歌曲賞ノミネートは当時の評価を物語る指標となった。

使用された映画・舞台(該当時)

映画『シャレード』では、メイン・タイトルをはじめ、物語の要所で主題が変奏され、登場人物の心理や場面転換を音楽的に補強する。アップテンポ化や編成縮小など、状況に応じたアレンジが施され、主題の認知性を保ちながら情緒の幅を拡張する設計が取られている。これにより、観客は旋律を手がかりに物語の緊張と弛緩を無意識に追体験でき、映画のサスペンス性とロマンティシズムが一層強調される。

現代における評価と影響

Charadeは映画音楽としての完成度に加え、スタンダード・ナンバーとしても定着し、オーケストラ、ジャズ・コンボ、ボーカルなど多様な編成で再解釈され続けている。教育現場やアマチュアのレパートリーにも浸透し、ワルツ・フィールと洗練された和声語法を学ぶ教材的価値も高い。映画音楽とポップス、ジャズの横断性を体現した作品として、配信時代においてもプレイリストでの再発見が進み、マンシーニの作家像を象徴する楽曲の一つとして揺るぎない地位を保っている。

まとめ

Charadeは、物語性とメロディアスな美しさを兼ね備えた映画主題歌の典型例であり、ワルツの揺らぎと精緻なオーケストレーションが、サスペンスとロマンスの二面性を音で描き出す。1963年の公開以来、映画の枠を超えて演奏され続ける普遍性は、マンシーニの職人技とマーサーの言葉の力(歌詞の詳細は情報不明箇所を除く)に支えられている。映画音楽史とスタンダードの両文脈で、今なお参照される不朽のテーマである。