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I'll Never Stop Loving You

  • 作曲: BRODSZKY NIKOLAUS
#スタンダードジャズ
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I'll Never Stop Loving You - 楽譜サンプル

I'll Never Stop Loving You|歌詞の意味と歴史

基本情報

「I'll Never Stop Loving You」は、作曲BRODSZKY NIKOLAUS、作詞Sammy Cahnによる1955年の楽曲。映画「Love Me or Leave Me」でドリス・デイが歌い、同年のアカデミー賞歌曲賞にノミネートされたことで知られる。端正なオーケストレーションと流麗な旋律を備えたバラードで、映画版に準拠したレコーディングが各種サウンドトラックやベスト盤で広く流通している。映画由来のポピュラー・ソングとして、その後もコンサートやスタジオ録音で取り上げられる機会があり、古典的ポップの代表格の一つとして位置づけられている。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示す通り、歌詞の核は「決して愛は止まらない」という不変の誓いにある。別離や試練を前にしても揺るがない献身、時間を超えて持続する想い、そして自己犠牲を含む深いロマンスが主題だ。具体的な情景描写よりも、普遍的な約束の言葉を反復し情感を高める構造で、聴き手は語り手の内なる確信に引き込まれる。結果として、個人的なラブソングでありながら、映画の登場人物の心理とも響き合う二重の読解が可能なテキストになっている。

歴史的背景

1950年代ハリウッドは、スター歌手を擁する音楽映画の全盛期。ブロズスキー(ニコラウス)とサミー・カーンは映画界で数々の抒情的ヒットを生んだ名コンビで、本曲もその成熟期の成果といえる。大編成ストリングスを軸に、前半で静かな語り口を築き、サビで情熱を解放する設計は当時の映画バラードの王道。作品はスクリーンのドラマを支えつつ、単独の楽曲としても強いアイデンティティをもつよう周到に書かれている。

有名な演奏・映画での使用

映画「Love Me or Leave Me」劇中でのドリス・デイの歌唱は決定版として評価が高い。艶やかなミドルテンポのバラード処理と、語尾を丁寧に置くフレージングが見事で、録音でもその解釈が踏襲されることが多い。以後、伝統的ポップやジャズ寄りのボーカリストによってカバーされ、リッチなストリングス伴奏のスタイルや、より室内楽的なピアノ主体の解釈など、多彩なアレンジで歌い継がれてきた。映画サウンドトラックや作品集の収録も継続的に行われている。

現代における評価と影響

今なおヴィンテージ・ポップの名曲として、シンガーのレパートリーやスタンダード志向のライブで取り上げられることがある。メロディの弧が大きく、息遣いとダイナミクスの設計に余地があるため、歌手の表現力を映す教材曲としても重宝される。配信時代には、映画音楽/ラブソングのプレイリストで定番的に参照され、往年のハリウッド・ロマンの象徴として再評価が続いている。

まとめ

「I'll Never Stop Loving You」は、映画発の抒情性と普遍的な愛の誓いを凝縮したバラードである。端正なメロディと緻密なオーケストレーション、そしてドリス・デイの名唱が、時代を超えて曲の魅力を支えた。映画文脈でも、独立した歌曲としても光る本作は、古典的ポピュラーの美点を体現する一曲と言える。