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Rhapsody In Blue

  • 作曲: GERSHWIN GEORGE
#スタンダードジャズ
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Rhapsody In Blue - 楽譜サンプル

Rhapsody In Blue|作品の特徴と歴史

基本情報

ジョージ・ガーシュウィン作曲「Rhapsody In Blue」は、ピアノとオーケストラのための単一楽章ラプソディ。1924年、ニューヨークのエオリアン・ホールでポール・ホワイトマンの企画公演で初演され、作曲者自身がピアノを担当。オーケストレーションはフェルディ・グローフェが行い、ジャズ・バンド版から後年フル・オーケストラ版へと改訂された。クラシックとジャズの語法を融合させた20世紀アメリカ音楽の代表作である。

音楽的特徴と表現

冒頭のクラリネットの長大なグリッサンドは、作品を象徴するサウンド・シンボル。ジャズのシンコペーションやブルーノート、ストライド・ピアノの語法を取り込みつつ、複数主題の回帰と変容を通じてクライマックスの“グランディオーソ”へ集約する。ピアノとアンサンブルの掛け合い、自由度の高いカデンツァ、金管のブラス・サウンドと弦のレガートが交錯し、都市の躍動感と哀感を同居させる表現が魅力である。

歴史的背景

20世紀初頭の“ジャズ・エイジ”に生まれ、欧米のコンサートホールと大衆音楽の距離を縮めた画期的作品として受容された。初演当時は「芸術か娯楽か」をめぐり賛否が割れたものの、短期間で人気を確立し、アメリカ的アイデンティティを帯びたコンサート・ピースとして評価が定着。クラシックの形式感にジャズのリズムと音色を導入するモデルとなり、後続の作曲家や演奏家に広範な影響を与えた。

使用された映画・舞台(該当時)

映画ではウディ・アレン『マンハッタン』(1979)のオープニングや、ディズニー『ファンタジア2000』の一編で大きく扱われる。さらに、作曲家の伝記映画『Rhapsody in Blue』(1945)でも楽曲が重要な役割を果たす。舞台での使用の網羅情報は情報不明だが、ポップス・オーケストラ公演やダンス作品などでの採用例が広く知られている。

現代における評価と影響

現在も世界各地の交響楽団・ポップスオーケストラの定番レパートリーで、ソリストと指揮者の解釈差が聴きどころとなる。レナード・バーンスタインやオスカー・レヴァントらの録音は参照点として名高い。教育現場や市民オーケストラでも取り上げられ、多様な編成版・短縮版が普及。ユナイテッド航空のテーマ音楽として長年用いられ、都会的イメージとニューヨークの象徴としても広く認知されている。

まとめ

「Rhapsody In Blue」は、クラシックとジャズの境界を越えてアメリカ音楽の自画像を描き出した傑作である。象徴的な冒頭、劇的な構成、ピアノの自在な語り口が、誕生から一世紀近くを経ても色褪せない魅力を放つ。入門者の名曲ガイドとしても、録音比較や解釈研究の対象としても豊穣で、“動く都市の肖像”として聴き継がれている。