あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

寺尾 聰

ルビーの指環

  • 作曲: 寺尾 聰
#歌謡曲#邦楽ポップス
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

ルビーの指環 - 楽譜サンプル

ルビーの指環|歌詞の意味と歴史

基本情報

「ルビーの指環」は、寺尾聰が作曲・歌唱し、松本隆が作詞を手がけた1981年発表のシングル。都会的なサウンドと低く渋いボーカルで広く支持され、日本のポップスを代表する一曲となった。発表当時の音楽シーンにおいて大人の鑑賞に耐える“洗練”を提示した作品として位置づけられる。収録アルバムやレーベルの詳細は情報不明。編曲者や演奏クレジットの詳細も情報不明とする。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、一人の男性が過ぎ去った恋の記憶を丁寧にたどる構成。具体的な出来事を連ねながら、感情表現を抑制した語り口で進むため、未練や痛みがかえって鮮明に浮かび上がる。タイトルにある“ルビーの指環”は、かつての恋人と結びついた象徴的モチーフで、色彩語と宝石の質感が記憶の鮮烈さと価値を示唆する。松本隆の洗練された語彙選択と、寺尾聰の低音ボイスが生む陰影が、離別の物語に大人の哀感を与える。直接的な涙や告白に頼らず、余白で聴き手の想像を喚起する設計が、時代を超えて共感を呼ぶ要因となっている。

歴史的背景

1980年代初頭、日本のポップスは“ニューミュージック”の成熟期に入り、都会生活を背景にした洗練された音作りが主流化した。「ルビーの指環」はその潮流の中核にあり、静かな語り口とミニマルなアレンジで新しい大人向けポップス像を提示した。1981年の音楽賞で高い評価を受け、日本レコード大賞を受賞。テレビ番組での露出も相まって幅広い世代に浸透した。華美な高揚ではなく、緊張感のあるクールさを前面に出した点が、同時代の作品群の中でも際立っている。

有名な演奏・映画での使用

有名な演奏としては、寺尾聰本人によるテレビ歌唱やコンサートでのパフォーマンスが広く知られる。静と動を抑制的に切り替えるステージングは、楽曲の余白と陰影を損なわずに引き立てる手法として定着した。多くのアーティストによるカバーやリメイクが存在するが、網羅的な一覧は情報不明。映画での明確な使用例についても情報不明である。一方、カラオケ定番曲として長年選曲され続け、一般の歌い手にも表現の余地が大きいことが支持理由となっている。

現代における評価と影響

近年は国内外で再評価が進む“シティ・ポップ”文脈でも語られ、サブスク世代にも聴取が広がる。打ち込みと生演奏を無理なく共存させたサウンド、低域主体のミキシング、余白を活かすフレージングは、現代ポップ制作にも通じる示唆を残した。恋の終わりを大仰に描かず、具体的イメージの積み重ねで余情を生む作詞術も、作家・歌い手に与えた影響が広く論じられている。結果として本作は、“語りすぎない強さ”の代表例として、今もリスナーと制作者の双方から参照され続けている。

まとめ

失われた恋をクールに照射する物語性、時代の潮流を体現したサウンド、そして確かな歌唱。これらが重なり「ルビーの指環」は1980年代を象徴する名曲となった。情報不明な細部はあるものの、楽曲の核は普遍的で、今も新しい聴き手に開かれている。