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Time On My Hands

  • 作曲: YOUMANS VINCENT
#スタンダードジャズ
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Time On My Hands - 楽譜サンプル

Time On My Hands|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Time On My Hands(副題:You in My Arms)」は、Vincent Youmansによる1930年の楽曲。作詞はHarold AdamsonとMack Gordonによるものとされ、ブロードウェイ・ミュージカル「Smiles」(1930)から生まれた作品として知られる。誕生後ほどなくポピュラー/ジャズ双方のレパートリーに入り、今日ではバラードとして取り上げられることの多いジャズ・スタンダードの一曲に数えられる。歌詞の全文はここでは扱わないが、恋人への親密なまなざしを軸としたロマンティックな内容である。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポで歌われることが多く、息の長い旋律線が特徴。メロディは段階的な上行・下行を丁寧につなぎ、フレーズ末にかけて情感を乗せやすい構造を持つ。和声はトニックとドミナントの明確な関係を基盤に、セカンダリー・ドミナントや経過和音で色彩を加える王道的な作り。ボーカルではルバートの導入やバック・フレージングが効果的で、器楽演奏ではテナーサックスやピアノによるバラード表現が定番。アドリブは原旋律の装飾から始め、コーダでテンポを落として余韻を残すアレンジも好まれる。

歴史的背景

1930年前後はブロードウェイ由来の楽曲がアメリカの大衆音楽を牽引し、後にジャズの重要な素材となった時期である。本曲もその系譜に連なる一例で、舞台発のロマンティックなナンバーがダンスバンドやスウィング時代の演奏を経て、戦後のモダン・ジャズでも継承された。作曲者Youmansは「Tea for Two」「I Want to Be Happy」などで知られ、端正で記憶に残る旋律作りに長じており、本曲も同傾向を色濃く示す。

有名な演奏・録音

戦前のダンス・バンドからスウィング、モダン・ジャズ期にかけて多くの歌手・器楽奏者が録音しており、ボーカル、テナーサックス、ピアノ・トリオでの名演が数多い。代表的な具体的録音の網羅的リストは情報不明だが、バラードの教科書的レパートリーとして研究・再演の対象になっている。編曲はストリングス付きのリッチな伴奏から、小編成コンボでの親密なアプローチまで幅広い。

現代における評価と影響

現在でもスタンダード集やフェイクブックに収載される機会が多く、音大・ジャズ教育の現場ではバラード運び、ブレス設計、歌詞解釈、テンポ・ルバートの扱いを学ぶ教材として重宝される。セッションでは深夜のバラードやアンコール曲として選ばれることが多く、コード進行の明晰さとメロディの気品が、年代やスタイルを超えて受け入れられている。映画やドラマでの二次使用の詳細は情報不明だが、ロマンティックな場面演出に適した資質を備える。

まとめ

「Time On My Hands」は、舞台発のポピュラー曲からジャズ・スタンダードへと定着した典型例。気品ある旋律と扱いやすい和声により、ボーカルから器楽まで幅広く愛奏され続けている。歴史的背景と演奏実践の双方で学ぶ価値が高い一曲と言える。