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Homeward Bound
- 作曲: SIMON PAUL

Homeward Bound - 楽譜サンプル
Homeward Bound|歌詞の意味と歴史
基本情報
Homeward Bound は、ポール・サイモン作(Simon & Garfunkel名義で発表)の1966年シングル。レーベルはColumbia、プロデュースはBob Johnston。のちにアルバム『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』にも収録され、フォークの語り口にポップな編曲が加わったフォーク・ロックの代表的楽曲として広く知られる。アコースティック・ギターを中心に、端正なハーモニーとシンプルなリズムが歌詞の物語性を引き立てる。
歌詞のテーマと意味
歌詞の主題は、旅の途上で募る郷愁と、愛する人や日常への帰還願望。列車や駅、舞台という移動と仕事の象徴が描かれ、流浪の生活の孤独と反復する日常の虚しさが滲む。繰り返し現れるフレーズが“家へ帰りたい”という切実な衝動を強調し、個人的な体験を普遍的な感情に昇華する。華美な言い回しを避けた直截な語彙と、二人の緻密なハーモニーが、望郷の情景を鮮明に聴き手へ伝える点が評価される。
歴史的背景
ポール・サイモンが英国フォーク・シーンを巡っていた時期の体験が端緒とされ、とりわけ英国チェシャーのウィドネス駅で着想した逸話は広く知られる。同駅にはこれを記念するプレートも設置されている。前作の成功を機にデュオの活動が本格化する過渡期に生まれたこの曲は、ツアー生活の現実を背景に、アコースティック志向とポップスの融合を推し進め、60年代半ばのフォーク・ロック潮流の中で早期の指標となった。
有名な演奏・映画での使用
Simon & Garfunkelは再結成公演でも本曲を定番として披露し、1981年のセントラル・パーク・コンサートのライブ演奏は代表的記録として知られる。二人のコーラスの精度と、抑制の効いた伴奏が屋外会場でも楽曲の親密さを保ち、名演として語られる。一方で、映画での顕著な使用例については情報不明。テレビやドキュメンタリーでの断片的な使用はあるが、主要劇映画での位置づけは確認できていない。
現代における評価と影響
Homeward Bound は“旅と帰郷”を描くポップ・ソングの古典として定着し、多くのアーティストにカバーされ続けている。ギターの分散和音と端正なメロディは、シンガー・ソングライター的作曲の教材としてもしばしば引用され、ラジオやプレイリストでも安定した存在感を示す。批評面では、個人的叙情を普遍の感覚に架橋する手腕と、簡潔な構成で高い記憶性を実現した点がしばしば評価の的となっている。
まとめ
シンプルな編曲と印象的なメロディ、そして旅路の孤独を普遍化した歌詞によって、Homeward Bound は時代を超えて聴かれる定番曲となった。60年代フォーク・ロックの要諦を体現しつつ、現代のリスナーにも直感的に届く普遍性を備える。制作背景と表現の焦点が明晰なため、入門にも最適な一曲である。