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翳りゆく部屋
- 作曲: 荒井 由実

翳りゆく部屋 - 楽譜サンプル
翳りゆく部屋|歌詞の意味と歴史
基本情報
「翳りゆく部屋」は、荒井由実が作曲(作詞も担当)したバラード。発表年は1976年。シングルとしてリリースされたか、アルバム初出かは情報不明。レーベルやチャート成績、タイアップの公式記録も情報不明だが、1970年代の作品群の中でも重厚なサウンドで知られる。ミディアムスローのテンポと、荘厳な響きを感じさせる和声設計が核となる一曲である。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す“翳り”は、日が傾き部屋に影が満ちていく情景と、関係の終焉へと向かう心の陰りを二重写しにする。外界の光が弱まるにつれ、記憶と現実が静かに交錯し、語り手は喪失を受け入れようとするが、その過程に滲む余情が聴き手の共感を呼ぶ。室内という私的空間を舞台に、時間の不可逆性と別れの儀式性が凝縮され、対象を責めるのではなく、静かな自己省察へと沈潜していく姿が印象的だ。
歴史的背景
1970年代半ば、日本のポップスはシンガーソングライターの台頭とスタジオ技術の進展で、抒情とサウンド・スケープの融合が進んだ。本曲もその潮流の中で生まれ、ピアノを中核にした編成に重厚なハーモニーを重ねる美意識がうかがえる。制作スタッフや録音スタジオの詳細は情報不明だが、フォークから洗練されたポップへと広がる時代の感性を端的に示し、作者の作曲・作詞両面の成熟を刻印した。
有名な演奏・映画での使用
本曲に関する著名なカバー、記録的なライブ音源、映画・ドラマでの明確な使用事例については情報不明。作品の情緒や主題の性質上、離別や追憶を扱う映像と親和性が高いと評価されることが多いが、具体的なタイアップの一次情報は確認できていない。公式発表や信頼できる資料に基づく更新があれば、代表的な演奏や使用例を追補したい。
現代における評価と影響
失恋を題材にした日本のポップ・バラードの古典として、現在も多くのリスナーに聴かれ続けている。パイプオルガンを想起させる荘厳な響きや、下降感を伴うメロディ運びは、その後の劇的バラードの作法に通じる手触りを持つ。配信時代においても、静謐とドラマを両立させる書法の見本として語られる機会があり、歌詞の映像的な比喩は世代を越えて通用する表現力を保っている。
まとめ
「翳りゆく部屋」は、光と影、内面と外界を重ね合わせ、別れの瞬間を静かに描いた名曲である。事実関係の一部に情報不明は残るものの、歌詞のイメージ喚起力と重厚なサウンド・デザインは、発表から年月を経ても色褪せない。荒井由実のソングライティングの精華として、今なお新しい聴取を呼び込む、日本ポップス史に刻まれた重要作だ。