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Gibraltar

  • 作曲: HUBBARD FREDDIE
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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Gibraltar - 楽譜サンプル

Gibraltar|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Gibraltarは、ジャズ・トランペッターのフレディ・ハバードが作曲したインストゥルメンタル曲。初出は1971年、サックス奏者スタンリー・タレンタインのアルバム『Salt Song』で録音され、作曲者のハバードも参加したことで広く知られるようになった。歌詞は存在せず、ライブでも拡張しやすい構成が特徴。以降、ハード・バップ以後のエネルギーと70年代初頭のクロスオーバー感覚を併せ持つレパートリーとして、コンボからビッグバンドまで幅広く演奏されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

力強いリフと明快なテーマ、そして長いインプロヴィゼーションを前提としたモーダルな展開が核となる。エレクトリック・ベースやパーカッションを含むファンキー/ラテン寄りのグルーヴ上で、トランペットやテナー・サックスがダイナミックにソロを繰り広げるのが定番。コード進行は比較的シンプルで、反復するヴァンプからブリッジで色合いを変え、再びテーマに回収する設計が多い。アンサンブルではユニゾンの鋭いラインとブラスの厚みが効果的に使われ、ライブではテンポや構成を柔軟に拡張できる。

歴史的背景

1970年代初頭、CTIレーベルを中心にジャズはソウル、ロック、ラテンの要素を取り込み、洗練された音響と親しみやすいフックを備えた作品が台頭した。Gibraltarはその潮流の中で生まれ、ハード・バップ由来の強靭さとポップ・センスを兼備。録音技術の向上や大編成のアレンジ、エレクトリック楽器の導入といった文脈が、楽曲のドライヴ感と艶やかなサウンドを後押しした。結果として、ジャズ・クラブだけでなく広い聴衆にも届くレパートリーへと浸透していった。

有名な演奏・録音

基点となるのはスタンリー・タレンタイン『Salt Song』(1971年)での演奏。以後、フレディ・ハバード自身のライブや、同時代のCTI勢によるコンサートでも取り上げられ、多様な編成・テンポ・尺で再解釈が行われた。小編成コンボではリズム・セクションのヴァンプが推進力を生み、ビッグバンド版ではブラスの厚いハーモニーが映える。現在も国内外のジャズ・クラブや教育現場で定番曲として扱われ、複数の録音が流通している。

現代における評価と影響

Gibraltarは、強いリフと明瞭なフォームにより、即興の自由度と聴きやすさを両立する曲として評価されている。セッション現場での相性がよく、テンポ変更や拍感の差し替えにも耐えるため、奏者の個性を際立たせやすい。ストリーミングの普及で新旧の音源へのアクセスも容易になり、若手奏者がレパートリー化する例も多い。ハード・バップ以降のエネルギーと70年代クロスオーバー美学を学ぶ教材としても有用だ。

まとめ

フレディ・ハバード作曲のGibraltarは、CTI期の洗練とジャズの躍動を象徴するインスト曲。1971年の録音を端緒に、多くの編成で演奏され続ける定番レパートリーとなった。骨太なリフ、モーダルな余白、拡張自在の構成が、世代やスタイルを超えて演奏者と聴き手を結び付ける。入門者にとってはジャズのダイナミズムとグルーヴ感を体感できる格好の1曲である。