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Day By Day
- 作曲: CAHN SAMMY, CAHN SAMMY, WESTON PAUL

Day By Day - 楽譜サンプル
Day By Day|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Day By Day」は、サミー・カーン作詞、ポール・ウェストンら作曲として知られる1945年発表のポピュラー・ソングで、ジャズ・シーンで定番化したスタンダード・ナンバーである。一般的な著作情報では、作曲はポール・ウェストンとアクセル・ストーダール、作詞はサミー・カーンとされる。恋愛感情が日毎に深まっていく心情を歌う内容で、歌詞の全文はここでは割愛するが、平明で印象に残るフレーズが多く、ボーカルの表現力を引き出す楽曲として重宝されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
温かい抒情性を湛えた旋律線が特徴で、スイングの中庸テンポからバラードまで幅広く解釈できる。和声はクラシックなポップス/ジャズの語法に根差し、滑らかな進行がフレージングを支えるため、ボーカルはレガートを活かしやすい。小編成のコンボではブラシを用いた柔らかなリズムとウォーキング・ベースで、ビッグバンドではサックス・セクションのパッドが映える。キー設定の自由度も高く、モーダルな再解釈よりも歌心を中心に据えた伝統的アプローチが好まれる。
歴史的背景
第二次世界大戦直後のアメリカで誕生し、ラジオとレコード市場の拡大の波に乗って広まった。フランク・シナトラがオーケストラ伴奏で録音して人気を博し、レズ・ブラウン楽団とドリス・デイの録音や、ジョー・スタッフォードによる歌唱も広く知られる。戦後アメリカの楽曲らしく、過度な悲壮感よりも日常への回帰と親密な愛情表現を前面に出し、ダンスホールから家庭の電蓄まで浸透していった。
有名な演奏・録音
代表的にはフランク・シナトラの録音が端緒として語られ、続いてドリス・デイ、ジョー・スタッフォードらのヴァージョンが普及に貢献した。ジャズ文脈では、スウィング寄りの軽快なテンポからしっとりしたバラード解釈まで幅があり、ピアノ・トリオの伴奏でボーカルが語りかけるスタイルも定番。各種アンソロジーやコンピレーションにも収録される機会が多く、時代や編成を超えて録音が続いている。
現代における評価と影響
現在もジャズ・クラブやリサイタルのレパートリーとして定着し、ボーカリストの表現力や英語ディクションを磨く教材曲として扱われることも多い。シンプルかつ情緒豊かなメロディは、スタンダード入門から上級の解釈まで対応でき、世代を超えた演奏家に支持される。配信時代においても新録が途切れず、プレイリスト文脈で再発見されるなど、息の長い評価を得ている。
まとめ
「Day By Day」は、日々深まる愛情という普遍的テーマと、歌心を引き立てる旋律・和声が結びついた名曲である。戦後に広がったポピュラー・ソングの美点を保ちながら、ジャズの即興性にも開かれており、これからも多くの歌い手・演奏家によって継承されていくだろう。