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Green Chimneys
- 作曲: MONK THELONIOUS S

Green Chimneys - 楽譜サンプル
Green Chimneys|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Green Chimneysは、セロニアス・モンク(MONK THELONIOUS S)作曲のジャズ曲。1968年のアルバム『Underground』(Columbia)で公式に発表され、カルテット編成(テナーのチャーリー・ラウズ、ベースのラリー・ゲイルズ、ドラムのベン・ライリー)で録音された。タイトルは米ニューヨーク州の学校“Green Chimneys”に由来する。歌詞はなくインストゥルメンタル。
音楽的特徴と演奏スタイル
モンク特有の跳躍と半音階的運動が交錯するテーマ、強いシンコペーション、意図的にずらしたアクセントが耳を引く。和声はブルース感と全音音階の色彩をにじませつつ、機能和声に依存しすぎない進行。テンポはミディアム〜アップの4ビートで演奏されることが多く、ピアノの硬質なヴォイシングとドラムのライドが推進力を作る。ソロはモチーフ反復と間合いの活用が鍵となる。
歴史的背景
本作が収められた『Underground』期は、モンクがコロムビア在籍後期にあたり、カルテットの完成度が高まった時期。時代はロックやフリーの隆盛と重なるが、モンクは独自語法を貫徹し、鋭いリズムの感覚とユーモアを最新作にも持ち込んだ。タイトルの由来となった学校名の採用は、私的なエピソードを作品に刻むモンクの流儀を象徴する。
有名な演奏・録音
基準点となるのはモンク自身の『Underground』のテイク。以後、コンボからビッグバンドまで幅広くレパートリー化され、教育用アレンジも流通している。関連作として、ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズによるトリビュート盤『Green Chimneys: The Music of Thelonious Monk』(1999)は、曲名がアルバム・タイトルに採られた例として知られる。その他の代表的録音は情報不明。
現代における評価と影響
Green Chimneysは、モンク後期レパートリーの中核として安定した評価を得ており、ジャム・セッションでも取り上げられる機会が多い。独特のアクセント配置は、リズム・セクションの相互作用を学ぶ教材としても有効で、ピアノ・トリオやサックス入りのカルテットでの解釈が盛ん。アレンジの自由度が高く、現代の奏者にも創作意欲を喚起する。
まとめ
複雑さと親しみやすさの境界で躍動するGreen Chimneysは、モンクの作曲美学を端的に伝える一曲である。明確なメロディ、揺さぶるリズム、凝縮した和声語彙が短い尺に集約され、演奏者には精密さと遊び心の双方を要求する。初聴の入門曲としても、解釈を深める素材としても有用だ。