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Till There Was You
- 作曲: WILLSON MEREDITH

Till There Was You - 楽譜サンプル
Till There Was You |歌詞の意味と歴史
基本情報
Meredith Willson が作曲・作詞したバラードで、初出は1957年のブロードウェイ・ミュージカル『The Music Man』。劇中でヒロインのマリアンが歌う恋の告白曲として位置づけられる。静かなテンポと親しみやすい旋律が特徴。初演時の歌手はバーバラ・クック。レコード発売年や細部の楽曲データは情報不明。
歌詞のテーマと意味
恋に出会う以前は見過ごしていた世界の美しさが、相手の存在によって鮮やかに開けていく——そんな気づきの物語。自然のイメージや音のメタファーを用い、過剰なドラマではなく誠実な告白として語られる。誰かに出会うことで感受性が研ぎ澄まされる普遍的経験を繊細に描き、結婚式や記念日の選曲としても親しまれている。
歴史的背景
『The Music Man』は1950年代ブロードウェイの黄金期を代表する作品のひとつで、ウィルソンは劇中歌の多くを自ら作詞作曲した。本曲は物語の核心を支える抒情的ナンバーで、後年の映画版(1962)にも受け継がれた。舞台発のショーチューンが大衆歌として広く流通した好例であり、やがてポップ界にも浸透する足がかりとなった。
有名な演奏・映画での使用
オリジナル・ブロードウェイではバーバラ・クックが歌唱し、映画『The Music Man』(1962)ではシャーリー・ジョーンズが可憐に演じた。さらに1963年、ビートルズがアルバム『With the Beatles』で取り上げ、1964年の『エド・サリヴァン・ショー』でも披露。ポール・マッカートニーの温かなヴォーカルとアコースティック主体の伴奏が楽曲の魅力を世界的に再認知させた。
現代における評価と影響
本曲はショーチューン発のポップ・スタンダードとして、ミュージカル、ポップ、ジャズの垣根を越えて歌い継がれている。穏やかなレンジと明瞭なフレーズはヴォーカルの教材やオーディション曲としても定番。ビートルズ版を入口にミュージカルへの関心を広げた例も多く、舞台音楽とロック/ポップを橋渡しした重要曲と評価される。
まとめ
劇中の繊細な告白歌として生まれ、数々の名演で息長く愛されてきた本曲。シンプルな旋律と言葉が生む普遍性こそが魅力であり、出会いが世界の見え方を変えるというテーマは時代を超えて共鳴し続ける。作品の出自、映画化、ビートルズによる普及という三層の歴史が、その価値を確かなものにしている。