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Julia
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Julia - 楽譜サンプル
Julia |歌詞の意味と歴史
基本情報
ビートルズの「Julia」は、1968年発表のアルバム『The Beatles』(通称ホワイト・アルバム)収録曲。作曲はレノン=マッカートニー名義だが、演奏はジョン・レノン単独のボーカルとアコースティック・ギターのみという異色作。プロデュースはジョージ・マーティン。スタジオ録音で、ミニマルな編成が親密なムードを支える。
歌詞のテーマと意味
曲名の“Julia”はレノンの実母を指し、喪失と慈愛、自己探求が静かに交錯する。さらに当時親密になっていたオノ・ヨーコの存在も比喩的に織り込まれ、二人への想いが重層的に描かれる。囁くような歌唱と余白の多い言葉運びが、私的な祈りのような気配を生み、聴き手の内面へ穏やかに届く。
歴史的背景
1968年、インド滞在期を経たビートルズはアコースティック志向を強める。レノンはシンガー・ソングライターのドノヴァンから学んだ指弾き奏法を取り入れ、本曲で成熟させた。10代で母を亡くした体験と、創作上の新たな刺激が合流し、ライヴ活動停止後期ならではの内省的世界が結晶化した。
有名な演奏・映画での使用
ビートルズは1966年にツアーを停止しており、本曲の公式ライヴ演奏は残っていない。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明。カバーや編曲版の詳細も情報不明だが、繊細な指弾きと独白的な歌唱は弾き語りの手本として多くの演奏家に影響を与えている。
現代における評価と影響
「Julia」はホワイト・アルバムの中でも静謐なハイライトとしてしばしば言及される。技巧を誇示しない指弾き、素朴で美しいメロディ、赤裸々な感情表現は後続の英米フォークやベッドルーム・ポップに通じ、ジョンのソングライティングの多面性を示す重要曲として評価が定着している。
まとめ
個人的な告白性と普遍的な抒情を両立させた「Julia」は、装飾を削ぎ落とした構成で言葉と間の力を最大化した作品である。ビートルズの多彩さを示すと同時に、ジョン・レノン個人の物語を丁寧に封じ込めた名曲として、半世紀を超えて聴き継がれている。