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By The Time I Get To Phoenix 恋はフェニックス

  • 作曲: WEBB JIMMY L
#洋楽ポップス#ムードミュージック
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By The Time I Get To Phoenix 恋はフェニックス - 楽譜サンプル

By The Time I Get To Phoenix 恋はフェニックス|歌詞の意味と歴史

基本情報

「恋はフェニックス」はソングライター、ジミー・ウェッブ作「By The Time I Get To Phoenix」の邦題。最初の録音はジョニー・リヴァース、続くグレン・キャンベル版が決定版として知られる。ポップ/カントリーのバラードだが、アイザック・ヘイズの長尺解釈も名高い。旋律は端正で、語りかけるボーカルを中心に穏やかな編成でも映える普遍性を持つ。

歌詞のテーマと意味

物語は「彼が町を出る頃、彼女は…」という時間の指標で進み、フェニックス、アルバカーキ、オクラホマと地名を移しつつ別れを描く。ドアに残した置き手紙、信じまいとする彼女、走り続ける彼――移動の距離と時刻が心の距離を可視化する構成が核だ。直接的な断罪や激情ではなく、静かな諦念と自省が行間に漂い、ロードムービー的な情景が胸に残る。

歴史的背景

ウェッブはロサンゼルスのポップ・シーンで頭角を現し、リヴァース周辺で作品提供を重ねた。本曲は、のちにグレン・キャンベルと組む流れの起点となり、「ウィチタ・ラインマン」「ガルベストン」へと続く。シンガーの個性に応じて表情を変える書法が評価され、1960年代後半のカントリー・ポップ隆盛とも呼応して広く受け入れられた。

有名な演奏・映画での使用

ジョニー・リヴァース版は素朴で叙情的。グレン・キャンベル版はストリングスと温かなテノールでスタンダード化を決定づけた。アイザック・ヘイズは語りを加えた長尺アレンジでソウルへ再配置し、曲の解釈範囲を拡張した。ほかにも多数のアーティストによりカバーされている。映画での顕著な使用例は情報不明。

現代における評価と影響

地名と時間の反復、余白あるメロディ、離別を断罪しない視点は、今も作曲術の手本とされる。ジャンルを越える可塑性が高く、ポップやカントリー、ソウル、ジャズ寄りの編成でも映えるため、ライブ定番として歌い継がれている。配信時代にも再発見が進み、新旧リスナーに届くスタンダードとしての地位を保っている。

まとめ

移動の速度で心情を語る発想を端正なメロディに落とし込んだ本作は、時代やアレンジを超えて響き続ける。ウェッブの筆致と名演の積み重ねが、その普遍性を支え、別れの歌を成熟した物語へと昇華させた。短い言葉と景色の積層が、聴き手の心に長く余韻を残す。