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Goldfinger
- 作曲: BARRY JOHN,BRICUSSE LESLIE,NEWLEY ANTHONY GEORGE

Goldfinger - 楽譜サンプル
Goldfinger|作品の特徴と歴史
基本情報
Goldfingerは、1964年公開の映画「007 ゴールドフィンガー」の主題歌。作曲はJohn Barry、作詞はLeslie BricusseとAnthony Newley、オリジナル歌唱はShirley Basseyが担当した。作品はシリーズ初期の決定版的サウンドを確立し、タイトル曲として単独シングルでも広く知られるようになった。映画音楽でありながら強いポップ性を備え、劇伴と主題歌の橋渡しをする代表的存在である。
音楽的特徴と表現
重厚なブラスとビッグバンド編成を核に、陰影の濃いマイナー調、強拍を際立たせるリズム、弦の厚い和声が緊張感と豪奢さを同時に生む。メロディは半音階的な上昇や大胆な跳躍を用い、サスペンスと官能を併せ持つ印象を形成。終盤のドラマティックな転調はシャーリー・バッシーの力強いベルト発声を最大化し、悪役の魅力と危うさを音楽で描写する。主題動機は劇中スコアにも回帰し、統一感のある聴体験を提供する。
歴史的背景
シリーズ第3作となる本作で、ジョン・バリーは“ボンドらしさ”を象徴するブラス主導の豪華なサウンドを確立した。ブリッカス/ニューリーによる歌詞は、黄金への執着と誘惑、そしてそれに伴う危険性を人物像と結び付けて描き、物語の核を端的に補強。主題歌は国際的なヒットとなり、映画音楽とポップ・ソングの接点を拡張する成功例として受容された。以後のシリーズ主題歌の方向性にも少なからぬ影響を与えた。
使用された映画・舞台(該当時)
楽曲は映画のオープニングタイトルで全面的に使用され、映像演出とともに作品世界を一気に提示する役割を担う。さらに劇中の要所で主題動機がスコアに織り込まれ、悪役の存在感や緊迫場面の情緒を強化。公開当時のプロモーションでも主題歌は中核的に扱われ、映画のイメージを即時に想起させる音のアイコンとして機能した。
現代における評価と影響
Goldfingerは“ボンド主題歌”の典型としてしばしば言及され、豪快なブラスと力強い女性ボーカルという図式は後続作の参照点となった。ジャズ/ビッグバンド界隈でもカバーが盛んで、Count Basie Orchestraの録音(アルバムでの収録)や、インストゥルメンタル編曲が広く演奏される。シャーリー・バッシーは代表曲としてたびたびコンサートで披露し、テレビや広告でもスパイ的華やぎを喚起する定番楽曲として定着している。
まとめ
Goldfingerは、主題歌とスコアを有機的に結ぶ設計、鮮烈なブラスと劇的なボーカル、そして物語のテーマを凝縮した表現で、映画音楽史とポップ史双方に足跡を残した。作品単体としても、シリーズ文脈においても象徴的な存在であり、今日に至るまで“スパイ映画の音”の代名詞として輝きを放ち続けている。歌詞の全文はここでは扱わないが、その核心は欲望と危険の二面性にあると言える。