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All Night Long
- 作曲: BURRELL KENNY

All Night Long - 楽譜サンプル
All Night Long|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「All Night Long」はジャズ・ギタリスト、ケニー・バレル作曲のインストゥルメンタル。初出はPrestigeの同名アルバム(The Prestige All Stars名義)で、1956年12月28日、ニュージャージー州ハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオで録音、1957年に発売された。参加はKenny Burrell(g)、Donald Byrd(tp)、Hank Mobley(ts)、Jerome Richardson(fl, ts)、Mal Waldron(p)、Doug Watkins(b)、Art Taylor(ds)。作詞者は存在せず(情報不明)。
音楽的特徴と演奏スタイル
長尺のジャム・セッション形式で、ハードバップのエネルギーとブルーズ感が核。リフ主体のシンプルな主題から各奏者が伸びやかなコーラスを回し、ギターは温かいトーンと明快なコード・ヴォイシングで全体を牽引する。ホーン陣はコール&レスポンスを交え、ウォルドロンの堅実なコンピング、ワトキンスとテイラーの堅牢なリズムが推進力を生む。録音は音場が近く、各楽器の輪郭が立つため、ソロの受け渡しが立体的に聴こえる点も聴きどころだ。
歴史的背景
1950年代中盤のプレスティッジは、気鋭プレイヤーを集めた“オールスター”型の拡張セッションを多く企画し、本作もその流れの中で生まれた。録音はルディ・ヴァン・ゲルダーによるホーム・スタジオ期で、クリアかつ臨場感のある音像が特徴。デトロイト出身のバレルがニューヨークで評価を高めていく過程を捉えた記録としても重要で、同時代のハードバップ・シーンの機動力を伝える資料性も高い。
有名な演奏・録音
決定的なテイクは、初出アルバム『All Night Long』に収められたオリジナル録音。以後、同作はOJCなどで再発され、リマスター盤も流通している。ライヴでの公式録音や著名なカヴァーの具体例は情報不明だが、姉妹作とされる『All Day Long』(1957)と並び、初期バレルの魅力を示す代表的タイトルとしてしばしば参照される。入手しやすい再発盤で音質と演奏の両面を確認できる点も評価が高い。
現代における評価と影響
ギター主導のハードバップ・アンサンブルの手本として、アドリブ運びや伴奏の作法を学ぶ材料になり得る一曲。特に、音数を絞りつつ歌心を保つバレルのフレージング、ソロとバッキングのダイナミクス管理は現在も評価が高い。配信や復刻によって容易にアクセスでき、当時のジャム・セッション文化と録音美学を体感できる教材的価値を持つ。
まとめ
ケニー・バレル作曲の「All Night Long」は、骨太なリズムと余裕ある展開が魅力のインストゥルメンタル。1956年録音という歴史的文脈と、名手たちの相互作用が一体となって響く。まずはオリジナル収録盤で、主題提示から各ソロ、エンディングまでの流れを通して聴き、その構造と推進力、ギターの役割を俯瞰して味わってほしい。