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Don'cha Go 'Way Mad
- 作曲: JACQUET JEAN BAPTISTE ILLINOIS, MUNDY JAMES R, STILLMAN AL

Don'cha Go 'Way Mad - 楽譜サンプル
Don'cha Go 'Way Mad|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Don'cha Go 'Way Madは、JACQUET JEAN BAPTISTE ILLINOIS(Illinois Jacquet)とMUNDY JAMES R(Jimmy Mundy)によるインストゥルメンタル「Black Velvet」を原曲とし、のちにAL STILLMAN(Al Stillman)が歌詞を付けて現在のタイトルで広まった楽曲です。発表年は情報不明。ジャズの現場では、ボーカル曲としてもインストとしても取り上げられる機会が多く、スウィング感の心地よさとブルージーな味わいが共存する“歌ってよし、吹いてよし”のレパートリーとして認知されています。
音楽的特徴と演奏スタイル
中〜ややアップテンポのスウィングに乗せ、軽妙なフレーズとブラスのリフが映える構成が定番。ボーカル版では、相手をなだめるウィットある台詞回しが魅力(歌詞の全文は割愛)。ビッグバンドではサックス・セクションのユニゾンやブラスのショットでキメを作り、コンボではウォーキング・ベースに乗ったソロ回しでグルーヴを保ちます。イントロやエンディングのバリエーションも多く、ブレイクからの入りやコール&レスポンスなど、即興アレンジの余地が大きいのも強みです。キーや形式の細部は演者により異なることが多く、標準化された決定版の仕様は情報不明です。
歴史的背景
原曲「Black Velvet」は戦後のジャズ・シーンで注目を集め、テナー・サックスの歌心と躍動的なスウィングを前面に押し出したナンバーとして評価されました。そこにAl Stillmanが歌詞を付与することで、クラブやラジオで親しまれるボーカル・チューンへと拡張。結果として、ビッグバンドからスモール・コンボ、男女ボーカルまで幅広い編成で取り上げられる標準曲へと定着しました。初出の正確なリリース年やチャート情報は情報不明ですが、原曲と歌詞版が相互に普及し合い、レパートリー性を高めていった点が本作の特徴です。
有名な演奏・録音
代表的な源流として、Illinois Jacquetが演じた原曲「Black Velvet」の録音が挙げられます。これが後年の歌詞版「Don'cha Go 'Way Mad」へと受け継がれ、多くのバンドがレパートリー化しました。具体的な初出盤の詳細、初期の代表的カバーの年次・レーベルなどは情報不明ですが、ビッグバンド系アレンジとコンボ編成のいずれにも相性が良く、ライブ現場で継続的に演奏されてきたことは広く認識されています。
現代における評価と影響
今日でもスウィング期の香りを残しつつ、ジャズ・クラブでの実演に耐える普遍性を持つ曲として扱われています。テンポの柔軟性、ブルージーな旋律、コール&レスポンスが作る熱量は、入門者からベテランまで楽しめる要素で、レパートリーの“つなぎ”にも“見せ場”にも転用しやすい点が重宝されています。教材やセッションでの扱い、教則的な位置づけの詳細は情報不明ながら、ボーカルとホーンの双方に開かれたスタンダードとして評価は揺らいでいません。
まとめ
Don'cha Go 'Way Madは、「Black Velvet」を母体に歌詞が付与されて発展した、スウィングの旨味が詰まったジャズ標準曲です。演奏形態を選ばず、ライブで映えるアレンジの自由度も高い一方、史料的な初出年や初期代表録音の細目は情報不明の点が残ります。とはいえ、実演現場での息の長い人気が、その価値を雄弁に物語っています。