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この道

  • 作曲: 山田 耕筰
#トラディショナル#キッズ
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この道 - 楽譜サンプル

この道|歌詞の意味と歴史

基本情報

山田耕筰が手がけた『この道』は、日本の童謡・歌曲として広く親しまれる名曲。歌詞は北原白秋。独唱とピアノ伴奏を基本とし、合唱や器楽合奏の編曲も多い。発表年は情報不明だが、短い旋律に豊かな抑揚を備え、子どもから大人まで無理なく歌える音域に設計されている。シンプルな構成ながら言葉のアクセントを生かす工夫が随所に見られ、歌の稽古曲から演奏会のレパートリーまで幅広く用いられている。

歌詞のテーマと意味

詩は、一本の道を手がかりに、幼時の記憶と郷愁が静かに立ちのぼる情景を描く。特定の地名や出来事を誇張せず、匂いや光、季節の手触りを連想させる語で構成され、聞き手の個人的な追憶を呼び起こすのが特徴。反復される呼びかけの構造が“思い出す”行為を音楽的に支え、時間の往還を感じさせる。過度な感傷に流れず、節度ある抒情でまとめられているため、清新で凛とした余韻が残る。

歴史的背景

制作背景には、大正末から昭和初期にかけての“新しい童謡”運動がある。西洋音楽の語法を取り入れつつ、日本語の韻律に寄り添う歌を目指した山田耕筰は、詩人・北原白秋らと協働し、鑑賞にも耐える芸術性を備えた歌を多数生んだ。本曲もその潮流の中で位置づけられる。教育や家庭の場で歌える分かりやすさと、舞台で映える音楽性の両立は、この時期の代表的な到達点である。具体的な初出媒体や初演者は情報不明。

有名な演奏・映画での使用

『この道』は学校教育の教材や合唱ステージで頻繁に取り上げられ、児童合唱、女声・混声合唱、独唱版など録音が豊富に存在する。器楽ではピアノ独奏、吹奏楽、小編成アンサンブルへの編曲も盛んで、穏やかなテンポと流麗な旋律がアレンジ映えする。演奏解釈では、言葉の明瞭さとフレーズの長い息づかいが重視される。映画やドラマでの明確な使用例は情報不明である。

現代における評価と影響

今日、『この道』は世代を超えて歌い継がれるレパートリーとして定着している。素朴で記憶に残る旋律、語感を生かした節回し、過度な技巧に頼らない書法は、初学者の教材として有用でありながら、解釈の幅も広い。テンポやダイナミクスの設計次第で、抒情歌から芸術歌曲まで表情が変わる点も評価され、合唱コンクールやリサイタルのプログラムにも適している。地域の合唱団や学校現場でも継続的に演奏される。

まとめ

道という普遍的モチーフを軸に、個人の記憶と風土の情感を結びつけた一曲。情報不明な点は残るものの、詩と旋律の親密な呼応は色褪せず、独唱でも合唱でも魅力を発揮する。初めて触れる人は、言葉の子音と母音の流れを大切に、無理のない速度で歌うことで、この作品の核にある静かな郷愁と光のニュアンスが立ち上がってくるはずだ。