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Here's To Life

  • 作曲: BUTLER ARTHUR
#スタンダードジャズ
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Here's To Life - 楽譜サンプル

Here's To Life|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Here's To Life」はBUTLER ARTHUR(アーサー〈アーティ〉・バトラー)作曲、作詞はPhyllis Molinary。ジャズ・ボーカルの定番として知られる叙情的なバラードで、人生を祝福する成熟した視点をもったメッセージ性が評価されている。初出年は情報不明だが、後述の名演によって広く普及し、現在ではコンサートやクラブで頻繁に取り上げられる楽曲のひとつとなった。

音楽的特徴と演奏スタイル

緩やかなテンポで、長く息の続く旋律線が中心。和声はテンションを多用した豊かなボイシングが要となり、転回や半音階的進行が感情の陰影を深める。ボーカルはレガートを基調に、語り口を重視した間合いとダイナミクスのコントロールが肝心。ピアノ・トリオ編成では空間を活かした伴奏が好まれ、オーケストラ編成では弦による持続音が歌詞の余韻を支える。エンディングはフェルマータで静かに閉じる解釈が多く、人生を静かに祝福するトーンが保たれる。

歴史的背景

20世紀末に生まれた比較的新しいジャズ・バラードながら、クラシカルな歌心と現代的ハーモニーを併せ持つことでレパートリーに定着した。作曲家アーサー・バトラーは映画・テレビやポップスの分野でも活躍し、多様な語法を洗練されたバラードに昇華。作詞のフィリス・モリナリーは、過去を悔やむのではなく今を讃える成熟した視点を提示し、時代や世代を超えて響く普遍性を与えた。

有名な演奏・録音

決定的な広がりをもたらしたのが、Shirley Hornによるアルバム「Here's To Life」。ストリングスを伴う気品あるアレンジ(編曲家は情報不明)とホーンの低声のニュアンスが、曲の理想的な解釈として高く評価された。続いてBarbra Streisandも取り上げ、ポピュラーのリスナーにも浸透。以降、数多くのジャズ・ボーカリストがコンサートや録音で採用し、小編成からオーケストラまで多様な編成で名演が生まれている。

現代における評価と影響

「人生を讃える」というメッセージ性と、歌い手の成熟した表現力を引き出す旋律・和声構造が評価され、ボーカルのスタンダードとして確固たる地位を獲得。リスニングの場だけでなく、リサイタルやクラブ・シーンでも支持が厚い。編曲の自由度も高く、ピアノ独奏的な簡素化からフル・オーケストラまで拡張可能で、現代のジャズ教育やアレンジの題材としても活用されている。

まとめ

「Here's To Life」は、洗練されたハーモニーと語りかける旋律で“生の肯定”を描くジャズ・バラードの秀作。シャーリー・ホーンらの名演が礎となり、多くの歌手の解釈を生み続けている。情報不明な点は残るものの、その普遍的なメッセージと柔軟な編成適性により、今後も歌い継がれる標準曲として位置づけられるだろう。