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I Left My Heart In San Francisco

  • 作曲: CORY GEORGE C (JUN)
#スタンダードジャズ
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I Left My Heart In San Francisco - 楽譜サンプル

I Left My Heart In San Francisco|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『I Left My Heart In San Francisco』は、作曲CORY GEORGE C (JUN)名義、作詞Douglass Crossの楽曲。制作年は情報不明だが、1962年にトニー・ベネットの録音で世界的に知られ、翌年グラミー賞レコード・オブ・ザ・イヤーと最優秀男性歌手を受賞。郷愁と都市への愛を端正なメロディに託したジャズ・スタンダードである。

音楽的特徴と演奏スタイル

ゆったりとしたテンポのバラードで、歌心を最優先する構成が特徴。32小節程度の標準的フォームに基づき、旋律の跳躍とロングトーンが感情の高潮を描く。ヴォーカルではブレスの置き方と語り口が肝要。インストではミュート・トランペットやテナーサックスの柔らかな音色で歌うアプローチが好まれる。伴奏はリッチなストリングスやピアノ・トリオなど幅広い編成に適応する。

歴史的背景

作曲家コンビはサンフランシスコ出身で、都市を離れて暮らすなかで募った郷愁が創作の核になったと伝えられる。ベネットは1962年のシングルとして発表し、コンサートの定番曲として長年歌い続けた。曲はアメリカの都市イメージと個人の記憶を結びつけ、戦後ポピュラー音楽における「場所の歌」の典型を確立。街の空気感を喚起する語彙と旋律が、普遍的な共感を呼び起こした。

有名な演奏・録音

決定的名演はトニー・ベネットのスタジオ版と、オーケストラを伴うライヴ録音群。以後、多くのシンガーやジャズ奏者が取り上げ、ピアノ・トリオのバラード、ビッグバンドのスロー・スウィング、ソロ管楽器による哀愁のカヴァーなど多様な解釈が生まれた。映画やテレビでもしばしば引用され、世代を超えて再解釈が続く。

現代における評価と影響

本曲はベネットの代名詞であり、サンフランシスコを象徴する楽曲として式典やスポーツイベント、観光プロモーションで耳にする機会が多い。ジャズ教育の現場でもフレージング、ダイナミクス、バラード表現を学ぶ教材として重視され、若手からベテランまでのレパートリーに定着。都市と個人の記憶を結ぶ歌として今も強い訴求力を持つ。

まとめ

都市への愛と個人の想いを普遍的なメロディに結晶させた名曲。シンプルだが奥行きのある和声と息の長い旋律は、歌手にも奏者にも高い表現力を要求する。初学者はテンポを落として語るように、上級者はダイナミクスの陰影で情景を描き、曲の魅力を最大限に引き出したい。