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Joy Spring

  • 作曲: BROWN CLIFFORD BENJAMIN
#スタンダードジャズ
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Joy Spring - 楽譜サンプル

Joy Spring|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Joy Spring」は、トランペッターのClifford Brown(本名:BROWN CLIFFORD BENJAMIN)が1954年に発表したジャズ・スタンダード。初出録音はClifford Brown and Max Roach Quintet名義(EmArcy)として知られる。後年、Jon Hendricksが歌詞を付与し、器楽曲としても歌唱曲としても演奏される。調や正式な初演会場は情報不明だが、セッション現場ではテンポやキーを柔軟に設定して演奏されることが多い。

音楽的特徴と演奏スタイル

ハード・バップ期を象徴するスウィンギーな中速〜速めのテンポ、流麗でありつつ跳躍を交えるテーマ、そして細かいII-V進行が核。和声は転回や裏コードを含み、アドリブではライン連結とターゲット・ノートの運用が重要になる。テーマは歌心に富み、ユニゾンとシンプルなハーモナイズが映える。演奏フォーマットはヘッド→ソロ回し→ドラムス・トレード→ヘッドの構成が一般的で、コンピングはシンコペーションを効かせた反応の速さが鍵となる。

歴史的背景

1950年代半ば、ビバップの語法を受け継ぎつつブルース感覚を強めたハード・バップが台頭。ブラウン=ローチ・クインテットはその旗手で、本曲は同グループの代表的レパートリーとして広まった。曲名は、ブラウンが妻ラルー・アンダーソンに贈った愛称「Joy Spring」に由来すると広く知られている。歌詞版はJon Hendricksによるヴォーカリーズの系譜に連なり、器楽の名品が歌でも親しまれる契機となった。映画やテレビでの具体的使用情報は情報不明。

有名な演奏・録音

決定版として語られるのは、1954年のClifford Brown and Max Roach Quintetによる録音。切れ味あるテーマ提示と、ブラウンの構築的で歌心に満ちたソロは必聴である。その後、多くのジャズ・ミュージシャンがレパートリー化し、クインテット編成のみならず、ビッグバンドやギター・トリオなど編成違いのアレンジも盛んに作られてきた。網羅的な代表録音リストは情報不明だが、原盤を基準に比較すると理解が深まる。

現代における評価と影響

本曲はジャム・セッションや音楽大学の教材として定着し、モダン・ジャズの語法を学ぶ最適曲の一つとされる。トランペットのみならず、サックスやピアノ奏者にとってもフレージング、ターゲット・ノート、コード・アプローチの訓練曲として価値が高い。歌詞版の存在によりヴォーカル・レパートリーにも広がり、器楽と声楽の両面で継続的に演奏される稀有なスタンダードとして評価され続けている。

まとめ

明快なテーマと高度なハーモニーが両立した「Joy Spring」は、Clifford Brownの創造性を象徴する金字塔。初出録音から今日まで演奏の熱は衰えず、ハード・バップ美学のエッセンスを学べる標準曲として確固たる地位を築いている。入門者は原盤を手がかりに、テンポを落としてモチーフの歌い回しとII-V処理を丁寧に体得すると、楽曲の魅力が一段とクリアになる。