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That's How You Know (魔法にかけられて)
- 作曲: MENKEN ALAN

That's How You Know (魔法にかけられて) - 楽譜サンプル
That's How You Know (魔法にかけられて)|作品の特徴と歴史
基本情報
“That's How You Know”は、ディズニー映画『魔法にかけられて』(2007年公開)に登場する劇中歌。作曲はアラン・メンケン、作詞はスティーヴン・シュワルツ。主人公ジゼル(エイミー・アダムス)がニューヨークのセントラルパークで歌い出し、周囲の人々を巻き込む大規模なミュージカル・ナンバーとして映画の中核を担う。サウンドトラックはWalt Disney Recordsからリリースされ、作品の明るさと自己言及的なユーモアを象徴する一曲として知られる。
音楽的特徴と表現
明朗なメジャーキーを基調に、カリプソ/ラテン風味のリズム、ホーン・セクション、スティールパンを思わせる打楽器が躍動感を生む。歌はコール&レスポンスで群衆と交わり、劇場的クレッシェンドと終盤の転調で高揚を極める構成。歌詞は「相手が愛をどう示すか」を軽快に列挙し、抽象的な愛の言葉を日常の具体的行為へ落とし込むことで、物語世界と現実社会の橋渡しを果たす。ブロードウェイ流の明瞭なディクションとアンサンブルの重ね方が、画面上の群舞と精密に同期する。
歴史的背景
メンケンとシュワルツは『ポカホンタス』(1995)や『ノートルダムの鐘』(1996)で黄金コンビとして評価を確立。本作では、ディズニー・ミュージカルの伝統を現代的に再解釈する姿勢が顕著で、アニメと実写を融合した『魔法にかけられて』のコンセプトを音楽面から支えた。過去のディズニー作品へのオマージュを土台にしつつ、都会の雑踏で自然発生的に歌と踊りが広がる“公共空間のミュージカル化”によって新鮮さを獲得している。
使用された映画・舞台(該当時)
本曲は『魔法にかけられて』のセントラルパーク場面で使用され、ジゼルが周囲の人々の心を解きほぐしていく流れを視覚と聴覚の両面で描く。ボートや噴水、芝生広場など多様なロケーションを移動しながら、ミュージカルの“ナンバー”が現実に染み出すプロセスを段階的に提示。映画内での位置付けは、主人公の価値観が現代社会に波及することを示す転換点であり、キャラクター間の関係性を軽やかに進展させる役割を負う。
現代における評価と影響
“That's How You Know”はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、メンケン/シュワルツの職人的手腕が改めて認知された。映画の象徴的シーンとしてメディアで頻繁に引用され、コンサートやイベント向けのアレンジも多数流通。教育現場や市民合唱でも取り上げられるなど、劇中歌でありながらスタンドアローンな魅力を持つ。ディズニー以後の映画音楽においても、古典的文法とポピュラー要素の折衷例として参照点となっている。
まとめ
本曲は、耳に残る旋律と群衆合唱の高揚、そして「愛を行為で示す」という明快なメッセージで、映画のテーマを体現する一曲。ディズニー伝統の語法を現代の都市空間へ移植し、観る者を巻き込む楽しさを最大化した。映画文脈でも独立曲としても親しまれる、メンケン流フィルム・ミュージカルの到達点である。