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Invitation

  • 作曲: KAPER BRONISLAW
#スタンダードジャズ
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Invitation - 楽譜サンプル

Invitation|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Invitationは、作曲家ブロニスラウ・カパー(Bronislaw Kaper)による楽曲で、作詞はPaul Francis Webster。1952年公開の映画『Invitation』に由来するテーマとして知られ、その後ジャズ・スタンダードとして広く定着しました。原曲は映画音楽として生まれつつも、印象的な旋律と巧みな和声進行がジャズ・ミュージシャンに支持され、器楽・歌唱の両面で多くの録音が残されています。ジャンルはジャズ、歌詞付きのバージョンも存在しますが、現在はインストゥルメンタルでの演奏機会も非常に多い楽曲です。

音楽的特徴と演奏スタイル

陰影に富む短調の旋律線と、半音階的な進行を含むハーモニーが最大の魅力です。緊張と緩和を綿密に設計したコード進行は、連続するii–Vや転調感を生かした即興に向いており、ソリストは内声の動きやガイドトーンを捉えたフレージングでドラマ性を構築できます。テンポはバラード寄りからミディアム・スイングまで幅広く、ラテン・フィールを取り入れた解釈も一般的。リハーモナイズやペダル・ポイント、対位法的アプローチとも親和性が高く、小編成からビッグバンドまで編成を問わず映える曲です。

歴史的背景

カパーはハリウッドで活躍した作曲家で、映画音楽を中心に多くの作品を残しました。Invitationは映画由来の楽曲ながら、1950年代以降ジャズ界で頻繁に取り上げられ、スタンダード化を果たします。哀愁と品格を併せ持つ旋律、映画音楽に端を発する豊かな和声語法が、同時代のモダン・ジャズの語彙と合流し、セッション現場での定番レパートリーとして浸透していきました。歌詞版も録音され、バラード解釈の名唱が生まれた一方、器楽演奏ではハーモニーの拡張による多様な解釈が試みられています。

有名な演奏・録音

数多くの演奏家が本曲を取り上げていますが、特にJaco Pastoriusがビッグバンド編成で披露したライヴ・アレンジは名演として知られ、エネルギーと緻密さを兼ね備えた再解釈として高く評価されています。ほかにも、多様なサックス奏者やトロンボーン奏者、ピアニストらが、テンポやフィールを変えたさまざまな録音を残しており、ボーカルでは情感豊かなフレージングによるバラード解釈が定評です。個々の名演は編成・時代ごとにスタイルが異なり、楽曲の懐の深さを示しています。

現代における評価と影響

Invitationは教育現場やセッションで取り上げられる頻度が高く、和声分析や即興練習の題材としても有用です。短調の表現幅、可塑性の高いコード進行、編成を選ばないアレンジ適性により、現代でも録音・演奏が途絶えることはありません。映画音楽由来のメロディアスさを保ちながら、モダンな語法にも対応できる希有なレパートリーとして、プロ・アマ問わず多くの演奏者に愛されています。

まとめ

映画から生まれ、ジャズの現場で磨かれたInvitationは、叙情性と高度な和声を兼備した名曲です。バラードからスイング、ラテンまで柔軟に適応し、歌唱・器楽の両面で魅力を発揮。時代を超えて演奏され続ける理由は、その旋律美と即興の自由度にあります。これから取り組む人は、内声の動きとテンション制御を意識し、曲全体のドラマを描くことが上達への近道となるでしょう。