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Lady Bird
- 作曲: DAMERON TADD

Lady Bird - 楽譜サンプル
Lady Bird|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Lady Bird」は、DAMERON TADD(タッド・ダメロン)作曲によるジャズ・スタンダード。主にインストゥルメンタルとして演奏され、歌詞付きの定着版は情報不明。コンパクトな16小節のフォームと滑らかな和声運動で、ジャム・セッションから教育現場まで広く親しまれている。キーやテンポは演奏者や編成により多様で、アレンジの自由度が高い点も支持の理由である。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲の最大の特徴は、終盤に現れる“タッド・ダメロン・ターンアラウンド”。メジャー3度間を移動する一連のハーモニーと、連鎖するII–V進行により、遠回りしながらも自然に主調へ回帰する設計が、モダン・ジャズの洗練を体現する。メロディは過度に技巧的ではなく、コード・トーンに寄り添う端正なラインで、アドリブ学習ではガイドトーン(3度・7度)の接続、テンションの配置、終止直前の音価コントロールが鍵となる。テンポはミディアム・スウィングで奏されることが多いが、バラード寄りやアップでも成立し、ピアノ・トリオからホーン・アンサンブルまで編成を問わず映える。
歴史的背景
本曲はビ・バップ期に生まれ、ダメロンの抒情性とアレンジャー的感性を象徴する代表作として位置づけられている。初期の録音は作曲者自身のグループによるものが知られ、その後、多数の演奏家がレパートリーに採用。発表年や初演の詳細は情報不明だが、モダン・ジャズの発展とともに標準曲集へと定着していった。
有名な演奏・録音
代表的な手本として、タッド・ダメロン率いるコンボによる演奏が広く参照される。以後、数多くのピアニスト、トランペッター、サクソフォニストが録音し、多様なテンポや編成、リハーモナイズの試みが残されている。具体的なアルバム名や録音年は情報不明だが、セッション定番曲として録音例は非常に多い。
現代における評価と影響
“タッド・ダメロン・ターンアラウンド”は、コントラファクトや再ハーモニーの基盤として今日まで影響を与え続けている。音楽教育の現場では、調性を保ちながら色彩的に展開する和声設計の好例として扱われ、ソロ分析やアレンジの教材としても重要視される。アドリブ練習では、ターンアラウンド上のヴォイスリーディング、クロマチックなアプローチ、リズムの間(スペース)の取り方が実践的な学習ポイントとなる。
まとめ
「Lady Bird」は、シンプルな旋律と洗練された和声が同居する不朽のスタンダード。演奏の自由度、教育的価値、歴史的意義を兼ね備え、入門者から上級者まで長く取り組むに値する一曲である。