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I'll Never Fall in Love Again

  • 作曲: BACHARACH BURT F,DAVID HAL
#洋楽ポップス#カーペンターズ
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I'll Never Fall in Love Again - 楽譜サンプル

「I'll Never Fall in Love Again|歌詞の意味と歴史」

基本情報

「I'll Never Fall in Love Again」は、作曲バート・バカラック、作詞ハル・デイヴィッドによるポップ・ソング。ブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス・プロミセス』の挿入歌として知られ、後に多数のアーティストによりシングル化・カバーされ広く親しまれている。端正なメロディと洗練されたコード進行、軽やかなリズムに、醒めた恋愛観をユーモラスに綴る歌詞が乗る、両者のコンビらしさが凝縮された一曲である。録音面では、柔らかなホーンやストリングス、躍動するリズム・セクションが印象的で、ラジオ・フレンドリーでありながら舞台曲としての存在感も兼ね備える。

歌詞のテーマと意味

テーマは失恋後の心の防衛。恋愛の甘さよりも代償の大きさを痛感した語り手が、「二度と恋なんてしない」と決意する姿を、辛辣なユーモアと日常語の巧みな言い回しで描く。軽快なテンポと明るいサウンドは、言葉に潜むシニカルさを中和し、ほろ苦さと可笑しみが同居する独特のニュアンスを生み出している。サビへ向けての上行フレーズや小気味よい休符は、言い切る強さと心の迷いを同時に表現。結果として、恋への憧れを完全に捨て切れない人間味が滲み、単なる“失恋宣言”を超えた普遍性を獲得している。

歴史的背景

本曲は映画『アパートの鍵貸します』を原作とするブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス・プロミセス』のために書かれた。60年代末、ポップとブロードウェイの語法を跨ぐ音楽づくりで頭角を現していたバカラック=デイヴィッドの代表例であり、舞台での成功を皮切りにレコード市場へも波及。ミュージカル楽曲がポップ・チャートで存在感を放つ当時の潮流を象徴する作品となった。

有名な演奏・映画での使用

代表的録音としては、ディオンヌ・ワーウィックのシングルが広く知られ、ラジオで長く愛される定番となった。イギリスではボビー・ジェントリーによるカバーも大きな支持を得ている。舞台『プロミセス・プロミセス』の上演やリバイバルで継続的に取り上げられてきたが、特定の映画での顕著な使用については情報不明。いずれの版でも、テンポや編成の違いによって皮肉と甘美さのバランスが微妙に変化し、楽曲の懐の深さを示している。

現代における評価と影響

今日では、バカラック=デイヴィッド作品群の中でも特に親しまれるナンバーの一つとして位置づけられ、ポップ・スタンダード的に演奏・録音され続けている。ジャズやイージーリスニング寄りの解釈、アコースティック編成によるシンプルなカバーなど、多様なアレンジに耐える強固なメロディと構成は、作曲家の職人的手腕の証左である。配信時代においても世代を越えて聴かれ、失恋ソングの古典として参照され続けている。

まとめ

「I'll Never Fall in Love Again」は、辛口の恋愛観を軽妙に包み込む言葉と、耳に残るメロディの融合が魅力の名曲。舞台発のポップ・ヒットという来歴を持ちながら、時代や編成を超えて響く普遍性を備える。初めて聴く人にも、バカラック=デイヴィッドの美学を端的に伝える入門曲として強く推奨できる。