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It's Going to Take Some Time
- 作曲: KING CAROLE,STERN TONI

It's Going to Take Some Time - 楽譜サンプル
It's Going to Take Some Time|歌詞の意味と歴史
基本情報
「It's Going to Take Some Time」は、キャロル・キング(作曲)とトニ・スターン(作詞)のコンビによるポップ・ナンバー。初出はキングのアルバム『Music』(1971年)で、翌1972年にはカーペンターズがカバー・シングルとして発表し、Billboard Hot 100で12位を記録した。内省的な歌詞と穏やかなメロディが特徴で、シンガー・ソングライター期の成熟を示す一曲として知られる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、喪失や挫折を経た後の心の回復には「時間がかかる」ことを静かに受け入れる姿勢を描く。焦らずに季節の移ろいを見つめ、過去を手放しながら少しずつ前に進む決意が、穏やかな語り口で綴られる。直接的な励ましではなく、現実を見据えた肯定が聴き手の共感を呼ぶ。繰り返されるフレーズが“待つこと”の大切さを強調し、落ち着いたコード運びと相まって癒やしの感覚を生む。
歴史的背景
1971年当時、キングは『Tapestry』の成功でシンガー・ソングライター時代を代表する存在となっており、本作もその流れの中で生まれた。作詞を担ったトニ・スターンは「It’s Too Late」でも共作しており、私的な感情を普遍的な言葉に昇華する手腕で高く評価されていた。ブリル・ビルディング系の職業作家から、自作自演の個的表現へと音楽シーンが移行する過程を体現する一曲といえる。
有名な演奏・映画での使用
代表的なのはキャロル・キング自身のオリジナルと、カーペンターズのカバー。カーペンターズ版はリチャード・カーペンターによる端正なストリングスとオーボエを要したアレンジ、カレンの温かなボーカルが楽曲の普遍性を際立たせた。テレビや映画での顕著な使用については情報不明。ほかの主要カバーに関しても大規模ヒットは限られるが、シンガー・ソングライター系のライブ・レパートリーとして安定した支持がある。
現代における評価と影響
派手さはないが、時間を味方にするという視点は時代を超えて響き続ける。失恋や転機に寄り添う曲としてプレイリストでの定着度が高く、カーペンターズ版はソフト・ロック、アダルト・コンテンポラリーの文脈で基準点となっている。カバーや配信環境でも聴かれ、穏やかなテンポ、透明感のある和声進行、言葉の間合いが、現代のベッドルーム・ポップやシンガー・ソングライター作品にも影響を与えている。
まとめ
「It's Going to Take Some Time」は、派手な感情表現ではなく、時間が癒やしをもたらすという普遍の真理を静かに歌い上げた名曲だ。キングとスターンの巧みなコラボレーション、そしてカーペンターズの洗練された解釈が相まって、今もなお多くのリスナーの心に穏やかな灯をともしている。