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There's a Kind of Hush
- 作曲: REED LESLIE DAVID,STEPHENS GEOFFREY

There's a Kind of Hush - 楽譜サンプル
There's a Kind of Hush|歌詞の意味と歴史
基本情報
Leslie David ReedとGeoff Stephensが共作した1967年の英米ポップ・ソング。初出のヒットはHerman's Hermitsの「There's a Kind of Hush (All Over the World)」。後年、カーペンターズが1976年にカバーし再び世界的に知られるようになった。タイトルは“(All Over the World)”を含む表記と省略形が併存し、一般流通では原題が広く用いられている。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“Hush”は、恋人たちが寄り添う瞬間に世界が静まり返る感覚を象徴する。群衆や街の喧噪が遠のき、二人の鼓動だけが際立つという普遍的ロマンティシズムを歌う。言葉遣いは平易で、耳に残るフレーズの反復が親密さと多幸感を強調。大仰なドラマではなく、日常のささやかな幸福をすくい上げる作法が支持を集め、時代を越えて共感されている。
歴史的背景
60年代半ばの英国ポップはメロディ重視の職人的ソングライティングが隆盛。作曲家レズ・リードと作詞家ジェフ・スティーブンスは数々のヒットを生んだコンビで、本曲もその文脈に位置づけられる。軽快で清潔なアレンジ、口ずさみやすい旋律、明るい質感は当時のラジオ文化と親和性が高く、のちのソフトロック/イージーリスニング潮流にも橋渡しを果たした。
有名な演奏・映画での使用
代表的録音はHerman's Hermits(1967)とCarpenters(1976)。前者は米英チャート上位のヒットとして知られ、後者も全米アダルト・コンテンポラリー領域で高い評価を獲得したと広く記録される。以後も多数のアーティストが取り上げ、コンピレーション等を通じて継続的に流通。映画での顕著な使用例は情報不明。
現代における評価と影響
今日では60年代ポップの代表的スタンダードとして扱われ、懐かしさと普遍性を併せ持つ楽曲として聴き継がれている。過度な技巧に依らず、旋律と和声の明快さで感情を喚起する書法は、後続のソフトポップやシンガー・ソングライター系の作曲にも示唆を与えた。穏やかなテンポと明るい調性が、ポップ入門曲としての親和性も高めている。
まとめ
「静けさ」を愛の充足として描く明快なメッセージと、口ずさめる旋律が本曲の普遍性の源泉。Herman's HermitsのオリジナルとCarpentersの洗練されたカバーという二大金字塔が、半世紀以上にわたり価値を補強してきた。時代や編成を問わず魅力が損なわれないポップ名曲として、今後も幅広い場で歌い継がれていくだろう。