We've Only Just Begun
- 作曲: NICHOLS ROGER S,WILLIAMS PAUL (US 1)

We've Only Just Begun - 楽譜サンプル
We've Only Just Begun|歌詞の意味と歴史
基本情報
『We’ve Only Just Begun』は、作曲Roger Nichols、作詞Paul Williamsによる1970年のポップ・バラード。米Crocker National BankのテレビCM用に生まれ、その後フル楽曲へ発展した。A&Mレコードからカーペンターズが正式に録音し、アルバム『Close to You』に収録。穏やかなピアノ、繊細なドラムス、温かなストリングス、そして重層コーラスが溶け合う滑らかなサウンドが核で、Karen Carpenterの端正な低音域の歌唱が楽曲のアイデンティティを決定づけている。
歌詞のテーマと意味
主題は「新しい門出」と「共に歩む希望」。不安や困難を前提にしつつも、未来志向の語り口で互いの信頼を確認する。結婚を直接名指しする語は多くないが、約束や旅立ちを想起させる表現が多用され、晴れやかな和声と優しいメロディラインが誓いのシーンに自然と重なる。結果としてウェディング・ソングの定番として親しまれ、聴き手の人生経験に寄り添う普遍的なメッセージ性を獲得している。
歴史的背景
本曲はCMの短いフレーズから着想され、NicholsとWilliamsが歌詞・構成を拡張して完成。カーペンターズがこれを取り上げてシングル化し、1970年に全米チャート上位を記録、アダルト・コンテンポラリー系チャートでも首位級の反響を得たと伝えられる。清新で上品な音作りは当時のラジオで広く支持され、日本を含む各国で人気が定着。ソフトロック/イージーリスニングの重要曲として位置づけられていく。
有名な演奏・映画での使用
もっとも知られる録音はカーペンターズ版。作詞者ポール・ウィリアムズ自身によるセルフカバーも存在し、後年まで多くのポップス歌手やジャズ寄りアレンジの演奏が続く。CM発祥という出自ゆえ広告文脈での引用が多く、結婚式の入場・退場曲やテレビ番組内の挿入曲としても定番化した。具体的な映画作品での使用については情報不明だが、メディア横断的に親しまれている。
現代における評価と影響
現在もウェディング・ソングの古典としてストリーミングやプレイリストで高頻度に聴かれる。抑制の効いたアレンジ、明晰なメロディ、語りかけるような歌詞の三位一体は、後続のラブ・バラード制作に指標を与えた。若い世代のカバーやSNSでの再解釈も進み、時代を越えて「穏やかに希望を照らす」ポップ・ソングの模範例として評価が更新され続けている。
まとめ
CMという小さな種から芽吹いた『We’ve Only Just Begun』は、普遍的な門出の歌として世界に定着した。簡潔で温かなメッセージと洗練のサウンドが、私たちの人生の節目に寄り添い続ける所以である。